家庭での節電、ポイントは 夜の過ごし方 工夫を

胆振東部地震の影響で、平常より2割の節電が求められ、各家庭でも照明、テレビなど電化製品の節電にきめ細かな配慮が欠かせない。家族が夜に、それぞれの居室ではなく一緒の部屋で過ごすなどライフスタイルの見直しも急務になりそうだ。専門家のアドバイスを交え、節電のポイントを紹介する。(編集委員 福田淳一、酒谷信子、末角仁)

午後7~9時消費ピーク 家族同じ部屋に集まって

経済産業省が今回要請しているのは、節電コア時間帯(平日午前8時半~午後8時半)で平常より2割の削減。

家庭での夏の消費電力は、家族が帰宅してからの午後7時から9時ごろにかけてピークを迎え、その後も午前0時ごろまで比較的、高い水準が続く傾向にある。

資源エネルギー庁の推計では道内で家に人がいる在宅家庭で、夏場の午後8時の消費電力は、照明、冷蔵庫、テレビ、各種電気機器の待機電力で全体の7割を超える=グラフ=。

この時間帯の対策として、北海道経済産業局が勧めるのは、家族が個別の部屋にこもらず、一つの部屋で過ごすことだ。テレビは災害の情報を知るためにつけたままのことが多いが、別々に見ていた複数のテレビを1台にすれば、それだけで消費電力はかなり減らせる。家族一緒に過ごすことで、消費電力が多い照明の節電効果も期待できる。

子どもの生活習慣の見直しも必要になりそうだ。子どもの夜更かしも電力を消費するからだ。アニメや音楽などサブカルチャー的なテレビ番組は深夜に放送されることが多い。

ネット依存アドバイザーの遠藤美季さん(東京)は「録画して日中見るのではなく、SNSで仲間とつながりながら深夜に視聴し、コメントし合うことを楽しむ風潮がある」と指摘する。親が寝静まった後、自分の部屋でこっそり夜更かしし、授業中に眠気を催す例は多いという。

遠藤さんは「『自分も節電すれば、社会の役に立つんだ』という自尊意識を子どもに持たせて生活リズムを正し、この機会にトランプなど家族で遊べる娯楽を楽しんでは」と勧める。

一方、冷蔵庫は物を詰め込み過ぎると電力を余計に消費する。ドアを開けて食品を探す時間が長くならないよう中の整理も大事だ。逆に冷凍庫は隙間なく食品を入れると食品同士が保冷し合うので効果的だ。

長時間使わない電化製品はコンセントからプラグを抜くか、スイッチ付きのタップを使うと待機電力を減らせる。

節電は、とかく我慢するイメージをもたれがちだが、道経産局が指摘するのは「電気代が節約でき、家計にメリットがある」(資源エネルギー環境課)という点だ。同局の試算では、冷蔵庫の中の物を減らし設定温度を調整すると年間の電気代が3150円、電気ポットは使わない時にプラグを抜くと年間で3200円節約できるといった具合。今回の節電要請に限らず、今後、冬の電力需要期に向け、各家庭で節電への意識の高まりが求められそうだ。

冷蔵庫は「中」か「弱」 照明こまめに消して

省エネルギーセンター(東京)が認定する「家庭の省エネエキスパート」宮森芳子さん(札幌)の話

2割の節電目標と言われても、ぴんとこない人は多いはず。まずは小さなことから積み重ねましょう。

家庭でできることはまず冷蔵庫、テレビ、照明対策です。冷蔵庫は購入時の設定が「強」で、そのままの人が多いですね。「中」や「弱」にするだけでも電力消費を抑えられます。テレビは画面の明るさの「輝度」を下げ、自分が見やすい程度に調整しましょう。照明はこまめに消したり、夜は1カ所に家族が集まったり、基本的なことが大事です。

家庭の電力消費のピークとなる夜の時間帯を避けて、電気機器を使うのも工夫の一つ。炊き始めに最も電気を使う炊飯器を少し早めにセットすることや、アイロンは日中にかけるなど手軽に取り組めることはたくさんあります。

2011年の東日本大震災後に高まった節電意識が薄れつつあるのが気になります。今回の地震を無理なく節電する意識づけのきっかけにしてほしいですね。

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