育休から復帰 家事負担減らすコツは? 専門家に聞く

写真はイメージ(プラナ/ PIXTA)

新年度に育児休業からの職場復帰を控えている人は、仕事と家事・育児をどうこなすか、不安も多いと思います。仕事や育児に追われる中、家事への労力はできるだけ減らしたいです。負担を減らすためにできることは-。生活改善の助言をするライフオーガナイザーの田川瑞枝さん(61)=札幌市=にコツを聞きました。

田川瑞枝さん

4歳とまもなく1歳になる男児を育て、4月中旬に育児休業から復帰する札幌市の看護師女性(31)は「朝が時間との闘いになりそう」と気をもんでいます。今は長男にご飯を食べさせて保育園に送り出した後に次男の朝食ですが、復帰後は2人とも同じ保育園に通います。同時に食べさせ出勤のための自身の身支度もすると考えると不安になります。「ご飯作りも心配。自分がストレスを発散する時間は作れるだろうか」と話していました。

完璧求めずに

家事の負担軽減のコツとして、田川さんは完璧を求めないことや紙皿、割り箸などの使い捨て商品、便利家電の活用などを挙げています。

調理も「かしこまった料理にする必要はありません。肉や野菜を焼き、食べる時に好きなソースや調味料をかけるだけでもいい。冷凍食品や総菜にも頼りましょう」と提案。食材を電子レンジで事前に加熱したり、切った状態の肉や冷凍野菜を活用したりすれば調理時間を減らせます。

手間を省く方法として、野菜やキノコをまとめて一度に切ってしまうことも勧めています。購入して冷蔵庫にしまう時や調理する時に全て切ることで、まな板や包丁を洗う回数が減らせます。例えばタマネギを3個購入した場合、1個を使う時にくし切りやみじん切りなど切り方を変えて3個全てを切ります。ビニール袋やジッパー付きの保存袋に入れ、当日分は冷蔵、それ以外は冷凍して必要な時に使うようにします。白菜などの水分の多い野菜は冷凍後、みそ汁の具にすると軟らかくて食べやすいそうです。

便利家電に頼って

材料を入れて放置したまま調理ができる電気調理鍋があれば、調理中に他の家事をしたり子どもと遊んだりもできます。出勤前に材料を入れて帰宅時間に合わせて料理が完成する予約調理ができる製品もあり「料理の救世主。1人暮らしやシニアにも良いです」。

風呂掃除を入浴前にする人が多いですが、入浴の一環として最後に行うことで楽になります。「乾いた状態よりも掃除がしやすく、毎日やっていると2、3分で浴槽や排水溝の掃除も終わる」といいます。

床掃除は、ほこりを除くためにできれば毎日するのが良く、田川さんのお薦めはロボット掃除機です。タイマーを活用して決まった時間に稼働させると、留守中に掃除が終わります。床に物が置いてあるとうまく稼働しないため、「床を片付ける習慣づけにもなる」と話します。床掃除を毎日行うのが難しい場合は、週1回などと決めて行います。コロコロと転がす粘着クリーナーは忙しい時もさっと使えます。

高価というイメージもある電気調理鍋やロボット掃除機ですが「子育て世代に浸透してきました。生活が楽になるのであれば、費用対効果がある」と指摘しています。

不安話し合い、子ども含めた家族でシェアを

職場復帰後の家事に不安を抱える人に、田川さんは、不安とその原因、理想、解決方法を書き出すようアドバイスしています。「客観的に自分を見ることができる」といいます。

負担は女性に偏りがちですが「家事を分担するのではなく、シェア(共有)する意識で取り組んでみましょう」。負担について夫婦や家族で話し合い、復帰後の時間に合わせてシミュレーションしておくと良いです。

共働きに限らず、夫が家事が苦手でもできるようにする努力は大切です。教えるコツは、完璧を求めず粘り強く繰り返すこと。男性も受け身ではなく、できることを見つけてほしいです。

たくさんの洗濯ばさみが付いたピンチハンガーに干す作業は、子どもの指先の遊びにもつながる

子どもも2、3歳になると簡単な作業ができるようになります。「家族の一員として役割を理解してもらって、遊び感覚でやらせてみてください」と田川さん。例えば、洗濯ばさみがたくさん付いている「ピンチハンガー」に衣類を干す作業は指先の遊びにもつながるといいます。大人用と分けて子ども用を担当してもらって、たたむ作業を省いてそのままピンチハンガーで保管してもよいです。

ご飯をよそうなど、食事の準備の一部を任せると子どもの食も進みやすいです。「やらせるよりやった方が早いと親は思いますが、子どもが成長した時にも役立ちます」。時間に余裕がある時に、子どもと練習すると上達につながります。

取材・文/石橋治佳(北海道新聞記者)

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