千歳や札幌の菓子店、アレルギー対応のクリスマスケーキ販売

千歳や札幌の菓子店、アレルギー対応のクリスマスケーキを販売

11月に入り、クリスマスケーキの予約を受け付けるお店も出てきました。材料としてよく使われる卵や牛乳、小麦粉は、体質によっては食物アレルギーを引き起こす原因物質(アレルゲン)にもなります。聖夜に向けてより多くの人にケーキを楽しんでもらおうと、材料や製法などに工夫を重ねる道内のお店を訪ねました。

米粉や豆乳を使用しておいしく工夫

千歳市の長都駅前にある「卵、乳製品 小麦粉を使わないお菓子屋さん ポリン」。店名通りのスイーツ作りにこだわり、店頭には「お豆で作ったモンブラン」「乳と卵不使用のプリン」などの商品が並びます。クリスマス用には4種類のケーキを販売します。

「アレルギー体質ではない人でもおいしいと思えるお菓子を作る」。ポリンを経営する工藤美星子(みほこ)さん(39)のモットーです。和食の調理師だった工藤さんは、アレルゲンを使わないスイーツ作りを3年ほど研究し、2016年に店を開業しました。

クリスマスのデコレーションケーキは、米粉のスポンジとイチゴの層の上に豆乳クリームが塗られています。卵と小麦粉を使わなくてもふわふわと膨らんだスポンジにするため、豆乳を泡立てるときに空気を含ませるのだといいます。「2種類の濃さの豆乳をブレンドし、一定の速度で静かに泡立てることで、ふわふわ感を出すのに必要な気泡が作れます」と説明。「焼き方もこだわっていますが、これは企業秘密です」

サンタやもみの木をかたどったクッキーを、飾り付けとして別添えします。表面にはひよこ豆とてんさい糖のクリームで絵を描きました。「バターを使わずにホロホロした口溶けに仕上げました。ケーキにのせて、見た目も楽しんでもらえたら」と期待します。

札幌市白石区の洋菓子店「パティスリーラネージュ」は、クリスマス向けに通常のケーキに加えて卵、小麦粉、牛乳を使わない「イチゴのムースケーキ」を販売します。米粉と豆乳でできたクッキーの土台に、5ミリ角のイチゴゼリーを混ぜ、食感を変えたイチゴのムースがのります。周りは厚さ5ミリほどの豆乳クリームでコーティングされています。

イチゴのムースケーキを手にするラネージュ代表の小坂優斗さん(中村祐子撮影)

イチゴのムースケーキを手にするラネージュ代表の小坂優斗さん(中村祐子撮影)

「乳児を育てている親からの『家族でホールケーキを食べたい』という要望に応えて、2020年からムースケーキを提供し始めました。誰にでもケーキを楽しんでほしい」と代表の小坂優斗さん(36)。普段は個別のアレルギーに対応しますが、クリスマスの繁忙期は、イチゴのムースケーキのみ販売します。

*  *  *

【ポリン】
クリスマス用にデコレーション、チョコレートデコレーション、ガトーショコラ、フルーツタルトを販売。11月10日に予約を開始し、12月18日締め切り。タルトを除く配送は、11月15日まで受け付けます。予約、問い合わせはホームページまたはインスタグラムへ。

【ラネージュ】
イチゴのムースケーキを販売。通常のアレルギー対応ケーキと異なり、予約は店頭前払いのみ(5号、4300円から)で、12月10日締め切り。受け取りは23日のみ。問い合わせは同店、電話011・595・8111へ。

通販サイト「Cake.jp」(東京、https://cake.jp/)では、登録された全国のお店からスイーツを取り寄せできます。広報担当者によると「サイト内には370種類以上のアレルギー対応ケーキがあり、現時点で北海道には約340種類が配送できる」と話します。

取材・文/高津戸璃歩(北海道新聞記者)

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