英語の勉強、いつ始める?

大切なのは何をしたいか|栄陽子留学研究所所長・栄陽子さん

栄陽子留学研究所所長・栄陽子さん

さかえ・ようこ 留学カウンセラー。1970年、帝塚山大学卒業。71年、米国セントラル・ミシガン大学大学院修了。72年に栄陽子留学研究所を設立し、米国留学を検討したり迷っている人たちの相談を受けている。

英語は、早くから始めれば良いというものではありません。これまでに7千人以上の留学生を見てきました。英語が上手だなと思ったのは、日本の大学を出てから留学した人です。早くから英語教育を受けた人ではありません。

英語は世界の共通言語になりつつありますが、ビジネスで英語を使っている人たちの多くは母国語を別に持っています。母国語を持った上で、英語を使っています。私の研究所が入居する東京・赤坂のビルにはレバノンなど複数の国の大使館が入っています。それら大使館の職員が仕事で使う英語の発音や文法は完璧ではありませんが、仕事はちゃんとできています。大切なのは、英語で何をしたいかです。

例えばピアノでプロになる人は、幼児期から毎日何時間も練習します。英語も、完璧に話せるようになるためには、毎日数時間の練習を欠かさず続けなければいけません。それを実行する覚悟があるならば可能ですが、実際はなかなか難しいでしょう。

中学レベルの英語が身に付いていれば、海外で英語の日常会話はできます。最近は「早く早く」と言い過ぎです。保護者の方は「自分は苦労したから、子どもには早くやってほしい」と思うのかもしれませんが、親が言って勉強させることができるのは、せいぜい中学生までです。

日本語は難しい言語です。表現が多様で、敬語も複雑です。日本語がいかに難しいかを当の日本人は分かっていません。日本語ができるのですから、本人が好きだったり、学校や仕事で必要となれば、英語は必ずできるようになります。焦る必要はありません。

今は英語の動画や映画がたくさんあります。親子で一緒に見たり、旅行に行ったりするなど、楽しみながら英語に触れる機会はたくさんあります。子どもに「単語はいくつ覚えたの?」「これは英語で何て言うの?」などと聞いて英語を嫌いにさせないことです。

英語のテストのできや学歴に振り回されず、自分の頭で物事を考え行動する人間を育てることが、一番大切なことだと思います。

聞き手/北海道新聞記者 鹿内朗代

(2019年12月3日付 北海道新聞朝刊掲載記事)

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