連載【0カ月からの育児塾】

妊娠したかなと思ったら 妊娠検査薬の使用や産科を受診するタイミングは?

写真はイメージ(Fast&Slow / PIXTA)

月経が始まらないことで妊娠に気付く人は多いでしょう。そのほかにも、女性の体にはいくつかの症状が現れます。妊娠によって体がどう変わっていくのか、どう過ごせば良いのか。妊娠検査薬の使用や産科を受診するタイミングも含め、北海道助産師会会長の高室典子さん(札幌)に聞きました。

微量の出血、乳房張る、だるく眠い 初期症状さまざま

妊娠が進むにつれて体が変化し、気を付けることも変わります。まず週や月の数え方を知ることが必要です。妊娠する前の最終月経初日を起点として数えるため、この日を「妊娠1カ月0週0日」とします。7日で1週、4週ちょうどで1カ月なので、4週0日から「妊娠2カ月」となります。多くの人にとって、月経が来ないと気付くのは2カ月に入るころなのです。

妊娠初期の症状は、女性ホルモンや血の巡りの変化によって起きます。個人差や妊娠ごとの違いがあり、3週から感じることもあれば、まったく感じないこともあります。主なサインは《1》月経が始まらない《2》受精卵が着床する際に微量の出血がある《3》乳房が張る、痛む《4》おなかが張る《5》腰痛《6》頭痛《7》肌がかさつく、しみやそばかすが増える《8》唾液の分泌量が変わる《9》鼻水が出る《10》嗅覚や味覚が変わる《11》おりものが白く粘つく《12》だるく眠くなる《13》情緒が不安定になる《14》胃がむかつく《15》基礎体温が高くなる《16》息が切れる―などです。

妊娠検査薬は薬局で購入できます。月経開始予定日の1週間後からの使用が推奨されています。産科を受診する目安は7週あたり。胎児の心臓の動きが確認できるころです。一般的には、この後に自治体に届け出て母子健康手帳を受け取ります。

妊娠が分かったら、どう生活すれば良いのでしょうか。「『赤ちゃんを大事にするために動かない』と言う人もいますが、それはちょっと違います」と高室さん。歩くことで血の巡りが良くなります。「葉酸や鉄分、栄養バランスの取れた食事は必要ですが、普通の生活をしてください」

飲酒については「妊娠に気付かないうちに飲んじゃったとしても、あまり気にしないで。でもそのまま飲み続けないこと」。厚生労働省によると、妊娠中の飲酒は胎児や乳児に低体重や脳障害などを引き起こす可能性があります。たばこは家族などによる副流煙も含めて胎児に悪影響を及ぼし、早産や低出生体重児のリスクを高めます。

心の安定を図ることも大切。「落ち着ける場所に自分を置き、パートナーにも自分の状態や不安を伝えて」と高室さん。通勤ラッシュを避けたり「マタニティマーク」を活用したりして、妊娠に適した生活に変えていくことを勧めます。

一方、早い時期に流産してしまうこともあります。早期の流産のほとんどは、受精卵になった時に生じた染色体などの異常が原因だと言われています。「仕事や運動など『あれをしたからじゃないか』『私のせいで』と自分を責める人もいますが、そうではありませんよ」と、高室さんは語り掛けます。

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取材・文/山田芳祥子(北海道新聞記者)

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