連載【0カ月からの育児塾】

妊娠前からできること 食生活や予防接種など8項目

写真はイメージ(Kazpon / PIXTA)

これまで生後0カ月からの育児について紹介してきましたが、子どもを育む暮らしはもっと前から始まります。今回は、妊娠する前からできることについて、北海道助産師会会長の高室典子さん(札幌)に聞きました。食事や運動といった暮らしの中で心がけたいことのほかに、風疹の予防接種など妊娠前しかできないこともあります。パートナーや家族と一緒に考えてみてはいかがでしょうか。

妊娠・出産、産後は体力や筋力を使いますし、お母さんとお父さんの体は赤ちゃんのもとになります。高室さんは妊娠前に心がけたいこととして8項目を挙げ、「まず子どもを望むことについて夫婦で意思疎通をして、力を合わせて取り組みましょう」と話します。

食生活

8項目の一つ目は食生活。食事を取る時刻や栄養バランスを意識します。女性が意識的に摂取したい栄養素に葉酸があります。胎児の神経の発達を促し、ホウレンソウやブロッコリー、納豆に含まれています。

運動と睡眠

二つ目は運動と睡眠です。ストレッチや散歩、机に向かう仕事なら体を伸ばしたり、軽く腹筋に負荷を掛けたりするだけでも良く、寝ることで筋肉が育ちます。

体重管理

三つ目は適切な体重管理。急な体重変化はホルモンバランスが崩れやすくなります。「急なダイエットや食べ過ぎは避けましょう」

酒・たばこ

四つ目は酒・たばこについてです。喫煙は男女ともに生殖能力に影響すると言われています。妊娠中の喫煙は低出生体重児や早産のリスクが高まり、周囲の人からの副流煙も胎児に悪影響を及ぼします。「パートナーや家族も一緒に禁煙を」と、高室さんは力を込めます。妊娠前の飲酒は「適量にとどめて楽しみましょう」。

予防接種

五つ目は予防接種。例えば風疹は免疫がない女性が妊娠初期に感染すると、赤ちゃんの目や耳、心臓に障害が起きる先天性風疹症候群になることがあります。おたふくかぜ、水ぼうそうも流産などのリスクを高めます。いずれも妊娠中は予防接種ができません。自身の母子手帳に接種や罹患(りかん)記録が書かれていることもありますが、抗体検査で免疫の有無を調べられます。

月経周期を夫婦で共有

六つ目は自分の月経周期を把握して夫婦で共有すること。排卵日前の妊娠に適した時期を知ることのほか、体調の波を予測することもできます。

口腔ケア

七つ目は口腔(こうくう)ケア。歯周病は早産や低出生体重児のリスクを高めることがあります。女性ホルモンの急増により増殖する歯周病菌があり、高室さんは「歯を磨くことはもちろん、妊娠前に歯科で適切なケアを受けましょう」と勧めます。

ストレスを避ける

最後の八つ目は、ストレスを避けること。ストレスを感じると血管がギュッと縮むなど、体にさまざまな反応が起きます。「ゆっくり深呼吸をして、よく眠ること」と高室さん。一方で、妊娠を意識する余り、これをせねばならないと自分たちを縛ることもストレスになります。「息抜きをしながら、楽しくゆったり暮らすのも大事なことです」

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取材・文/山田芳祥子(北海道新聞記者)

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