アパート・マンションの騒音トラブルを防ぐための対策は? 走り回る、おもちゃ投げる、泣く・・・

写真はイメージ(Mills / PIXTA)

マンションやアパートなどの集合住宅に住む子育て世帯の中には、子どもが室内で走ったり泣いたりする時の音が周囲の迷惑になっていないか気にする場合が少なくありません。子育て世帯が集合住宅を選ぶ際のポイントや、漏れ聞こえる音をできるだけ少なくするための対策を紹介します。

階下に響きやすい木造、古い鉄筋コンクリート造

「子どもが生まれたので、ご迷惑をおかけするかもしれません」。札幌市南区の主婦高橋誠可(みか)さん(34)は、同区内の木造2階建ての賃貸アパート(4戸)に住んでいた当時、長男を出産。他の3戸にタオルや紅茶を配りました。

1階の部屋だった高橋さんは、2階の足音や隣の家の子どもが遊ぶ声がしばしば聞こえていました。出産を機に「息子の声を苦痛に思う人もいるのでは」と思い、あいさつに回りました。引っ越すまでの1年半、トラブルはありませんでしたが、部屋で子どもがおもちゃを投げたりすると「音が響かないか心配しました」と振り返ります。

一般社団法人全国賃貸不動産管理業協会北海道支部によると、地方の賃貸物件は木造アパートの方が多いといいます。鉄筋コンクリート造のマンションに比べて音が下の階に響きやすく、支部長の生田健作さん(59)=函館市=は「生活音への配慮が必要になります」と話します。

マンションでも音に関する問題は起きています。2022年度、マンション管理組合などからの相談に応じる一般社団法人北海道マンション管理士会(札幌)に寄せられた相談は77件。このうち、騒音などのトラブルが17件と最多でした。子どもの泣き声が「騒音」とされることもあります。

2階以上なら遮音性マット活用を

鉄筋コンクリート造は、建設された年によって遮音性の程度が異なることが一因とみられます。1981年以前の建物の床の厚さは11~13センチが主流で、同会会長の菅野英雄さん(81)は「音を遮る力はない」。01年以降は20~30センチが主になり、遮音性も向上しています。

集合住宅の構造上の特徴

両会によると、子育て世帯は下階への音を気にしなくて良い1階を選ぶことを勧めるといいます。2階以上の場合は床に遮音性マットを敷いたり、隣家に接する部屋の壁側に家具を配置したりするなどの防音対策を取ります。

単身向けよりファミリー向け物件

単身向けの間取りが多い物件より、ファミリー層向けの物件を選ぶのも良いでしょう。生田さんは「生活音が出ても『お互いさま』となりやすいです」と説明します。

子育て世帯が子どもたちの出す音にできるだけ気兼ねしないように、工夫している公営住宅もあります。道住宅課によると、道営住宅の一部を2006年度から、未就学児がいる世帯対象の「子育て支援住宅」としました。下の階に生活音が響きやすいことを考慮し、建物の縦列を子育て世帯に割り当てています。今年3月現在、根室や旭川、函館、後志管内余市町など23市町に計328戸あります。

ただ、子どもの出す音を全くなくすことは困難。トラブルを避けるためには、生田さんも菅野さんも入居時、自室の真上と真下、同じ階の隣の住人にあいさつしておくことを勧めます。顔を知ってもらっておけば、生活音の感じ方が違うためです。

苦情を受けた際は、当事者同士で話し合うと、感情的になりやすいです。管理会社や管理組合、大家に相談する方が穏便な解決につながりやすいといいます。

取材・文/田口谷優子(北海道新聞記者)

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