道東初の新出生前診断、釧路日赤で開始 「知識つけて慎重に検討を」

道東で初めて新出生前診断の基幹施設に認定された釧路赤十字病院

釧路赤十字病院は、妊婦の血液から胎児の染色体異常の可能性を調べる「新出生前診断」の基幹施設として道東で初めて認定を受け、診断を始めている。既に2人がカウンセリングを受け、1人が診断を受けた。中絶につながりやすい診断のため、同病院の担当医は「カウンセリングを通して、よく検討してから診断を受けて」と話す。

新出生前診断は、ダウン症など三つの染色体異常のみを調べる診断。これまで検査可能な認定施設は道東になく、希望する妊婦は札幌市の病院まで出向かなければならなかった。道東でも診断できる体制をつくろうと、釧根管内で周産期の中核病院の役割を担う同病院が認定申請を行い、6月に日本医学会の運営委員会の認定を受け、7月から診断を始めた。

陽性の診断を受けて中絶を選ぶ妊婦が多く、命の選別につながりかねないことから、新出生前診断の前後にはカウンセリングが必須とされている。同病院では、新出生前診断認定医の資格を持つ産婦人科部長の青柳有紀子医師(46)がカウンセリングを担う。

同病院では診断対象に年齢制限は設けていない。ただ、若年の妊婦では陽性の的中率が下がることから「高齢の妊婦に適している」(青柳医師)としている。診察日は金曜午後で、診断料はカウンセリングのみで5500円、検査料は22万円(カウンセリング込み)。診断で陽性となった場合は確定診断の羊水検査を受けることになる。青柳医師は「周りに勧められて軽い気持ちで診断を受け、結果に悩む人もいる」とし、「知識をつけて、慎重に検討してほしい」と強調する。

新出生前診断

妊婦の血液の遺伝子を分析して21番(ダウン症)、心疾患などを伴う18番、13番の染色体異常を検出する非確定診断で、国内では2013年に始まった。出生前診断はほかに、超音波検査や血液の成分を調べる血清マーカー検査、羊水検査などがある。新出生前診断は身体的なリスクが伴わず、比較的高い確率で胎児の染色体異常を診断できるのが特徴。簡易に実施できることから、検査前のカウンセリング態勢が不十分な無認定のクリニックで検査を受ける妊婦が全国で増え、問題になった。これを受け、日本医学会の運営委員会は検査可能な認定施設の条件を緩和し、道内8施設を含む全国169施設が基幹施設の認定を受けている。

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