• 新生児マススクリーニング 新たに追加検査 希少疾患、早期発見例も

    (写真はイメージ/提供:PIXTA)
    生まれたばかりの赤ちゃんの血液で先天性の病気を早期に発見する「新生児マススクリーニング」。道内では新たな任意の追加検査が始まっています。生まれつき病原体に対する抵抗力が弱い原発性免疫不全症(PID)などの七つの希少疾患で、全国では、まだ10自治体ほどしか行っていない先進的な取り組みといいます。札幌市では今月から、札幌以外の道内では昨年11月から受け入れ態勢が整い、すでに早期発見につながった事例も出ているといいます。

    原発性免疫不全症など7種 発症前に治療、救命へ

    「検査が対象とする病気は数万~数十万人に1人と少ないが、早期に発見して治療を始めることが、救命や発症の抑制、進行を遅らせるカギとなる」。道内での新たな追加検査を主体的に担う「北海道希少疾病早期診断ネットワーク」の山田雅文代表理事(北大病院小児科)は、その意義を強調します。

    新生児マススクリーニングは、早期に発見し、治療することで、発症を抑制したり、遅らせたりできる病気をまとめて調べる検査。道内では26種の病気について、道と札幌市が実施主体となり、公費負担で実施しています。

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    生後4~6日の赤ちゃんのかかとから少量の血液を採って、ろ紙に染み込ませ、病気の可能性を調べます。札幌市内で出産した場合は札幌市衛生研究所、札幌市以外の道内で出産した場合は北海道薬剤師会公衆衛生検査センターが検査を請け負っています。

    新たな追加検査は、同センターが請け負います。従来のスクリーニング検査と同様にろ紙に血液を採って調べるため、合わせて検査することで、赤ちゃんの体に新たな負担は生じません。対象の疾患は2種の原発性免疫不全症とファブリー病など5種のライソゾーム病。いずれも国の指定難病で、医療技術の進歩から、近年、治療法が確立されています。

    ライソゾーム病に詳しい北海道医療センター(札幌)の田中藤樹医師は「見た目は元気でも、生まれつきの病気をもっていることがある。専門医でも診断は難しく、この検査の有用性は高い」と説明します。特にPIDの場合、乳児期の定期接種とされているロタウイルスやBCGなどの接種で、危険な状態になる可能性があり、日本小児科学会などが昨年、国に公費によるスクリーニング検査の拡大を要望しています。

    「道内では数年に1人のペースで、今回の追加検査で発見可能なPID患者が、感染症を発症してから見つかっている。諸外国では導入しているところも少なくなく、日本でもこの検査が受けられたらと何度ももどかしく思った」と山田代表理事。その危機感から、道内では専門医らが道希少疾病早期診断ネットワークを結成。昨年、産婦人科のある道内の医療機関と連携し、道薬剤師会公衆衛生検査センターによる新たな検査態勢を整えました。

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    追加検査は保護者の任意で、検査費5千円(医療機関により総額は違う)。昨年11月~今年7月までに生まれた赤ちゃん(札幌市以外)の約6割にあたる7226人が追加検査を受けました。患者として2人が診断を受け、今後の治療につながっていけるといいます。

    同ネットワークは多くの人に知ってもらおうとホームページ(https://www.douyakken.or.jp/HEDNet-RD/)を作成。山田代表理事は「まずは追加検査が道内で受けられることを知ってもらいたい。治療法は格段に進歩しており、発症前に介入することで1人でも多く助かる命を救いたい」と話しています。

    取材・文/根岸寛子(北海道新聞記者)

    新生児マススクリーニング
    1977年、原則すべての赤ちゃんを対象に各都道府県、政令指定都市の公費負担で始まった。知らずに放置すると、命に関わる障害につながる可能性のある先天的な病気を、早期に発見し、発症予防や適切な治療に結びつけるのが目的。病気が疑われた場合、専門の医療機関であらためて精密検査を行う。

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