新出生前診断、道内2病院認定 NTT札幌と函館中央 道南でも可能に

妊婦の血液から胎児の染色体異常の可能性を調べる新出生前診断(NIPT)を、NTT東日本札幌病院と函館中央病院が日本医学会の認定を受け、今月までに始めたことがわかった。道内の認定施設は北大病院と札医大病院に続き計4施設となり道南では初。検査説明などが不十分な認定外施設で受ける妊婦の増加が指摘されており、関係者は「ケア体制の充実した認定施設が増えるのは妊婦にとって有益」と話している。

認定は昨年12月。新型コロナウイルスの感染拡大などによりNTT東日本札幌病院は6月、函館中央病院は今月から受け付けを始めた。35歳以上の妊婦などが対象で、ダウン症など三つの染色体疾患の可能性を調べる。検査前後の遺伝カウンセリングが必須で費用は約20万円(保険適用外)。

NIPTは「産むか産まないか」の重い決断につながるため、日本産科婦人科学会など関連学会は指針を定め、専門家による遺伝カウンセリングを行う体制が整った病院でのみ実施を認めてきた。道内は北大病院と札医大病院のみで、予約の取りにくい状況が続いていた。ただ、指針に強制力はなく、認定を受けずに検査する民間クリニックが全国で急増。道内でも2019年度に1施設が始め、1年間で約90人が受けた。検査に関する説明が不十分で妊婦が混乱するトラブルが道内でも問題となっている。

函館中央病院は「検査を希望する道南の妊婦は札幌まで通院しなければならず負担は大きかった。ケア体制の充実した道内の認定施設を増やす必要があると感じていた」と検査を始めた理由を説明。NTT東日本札幌病院も「高齢妊娠の増加などで検査の需要は高い。的確な情報提供と、寄り添ったサポートをしていきたい」としている。

取材・文/根岸寛子、鹿内朗代(北海道新聞記者)

新出生前診断

妊婦の血液に含まれる胎児のDNAの一部を調べ、染色体数の異常が原因となる三つの疾患(ダウン症、18、13トリソミー)の可能性を調べる検査。確定診断には羊水検査が必要。国内では2013年度に導入され、日本医学会が施設を認定する(現在109施設)。13~19年度の7年間に道内の認定施設で受けた妊婦は計1706人。うち染色体異常の疑いがある「陽性」と判定されたのは32人で、羊水検査などで陽性が確定した29人のうち24人が人工妊娠中絶した。一方、認定外施設は16年ごろから東京都内を中心に急増。産婦人科以外の医療機関が多く、妊婦の年齢制限を設けず、全染色体の異常や性別などの検査を行うところもある。

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