新出生前診断 認定外、手軽さで拡大 説明不足で混乱も
新出生前診断を巡り、学会の認定を受けない施設の利用が道内でも広がっている。検査の手軽さのほか認定施設のない地方などで妊婦のニーズは高いとみられ、学会の指針外の検査項目にも拡大。ただ、不十分な説明に混乱した妊婦が認定施設に駆け込む事態も起きている。「年齢制限なし」「土日受診可」「夫婦同伴なし」―。札幌の認定外施設と連携する東京のクリニックのサイトにはそんな「売り文句」が並ぶ。担当者は「認定施設は制限が多く受けにくい」と強調する。
指針にある検査の前後に夫婦一緒に受ける遺伝カウンセリング、原則35歳以上という妊婦の年齢制限もない。受検料は、ダウン症など3種類を対象とする検査は18万円と認定施設より3万円安い。追加料金で、指針で認めていない全染色体の異常なども検査できる。担当者は「北海道の受検者数はまだ伸びる」とみる。
認定外施設は2016年ごろから東京都内を中心に急増。認定施設でつくる団体の調べでは現在130以上あり、形成外科や美容外科など産科以外の施設が大半だ。
利用急増の背景には認定施設の少なさもある。日本産科婦人科学会は指針で、認定施設を遺伝カウンセリングの専門医が常勤する医療機関に限定。道内は北大病院と札医大病院のみで、予約の取りにくい状況が続く。受検者の8割を占める北大病院の担当者は「産婦人科医不足から19年度は約100件の予約を断らざるを得なかった」と話す。
13~19年度の7年間に道内の認定施設で受けた妊婦の総数は計1706人。うち染色体異常の疑いがある「陽性」と判定されたのは32人。その後の羊水検査などで陽性が確定した29人のうち24人が人工妊娠中絶した。重い判断にもつながる検査結果について、札医大病院の染谷真行医師は「正しく受け止め、判断するには丁寧な遺伝カウンセリングが不可欠」と強調する。
道内の認定施設にも認定外で受けた結果をどう解釈すればいいか分からず駆け込む妊婦もいるという。北大病院の河口哲医師は「このままでは、不確実な結果に基づく人工妊娠中絶につながる恐れもある」と警鐘を鳴らす。
取材・文/根岸寛子(北海道新聞記者)
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