• #14|家を作り遺すこと 何十年先も視野に選択を

    家一つ分の廃材の量には本当に圧倒されます。1階が広く基礎面積が大きい建ち方は解体費用が高くなりがちです。解体時の廃材も家庭ゴミ同様に分別義務があり、手作業も多く費用もかさみます

    「ステキな家をつくろう」
    札幌在住の建築家、三木万裕子さんが、古民家をリノベーションして〝わが家〟をつくったときに学んだアイデアやノウハウをつづるコラム。


    私たちは今の家に住むまで、祖母が住んでいた家を借りて暮らしていました。築30年の家です。今後、誰か住む予定もなく、遺品も片付いてきたので、今年の夏、その家を売りに出すことになりました。

    当初は、家具の引き取り手を捜し、建物も解体せずに次の所有者に再利用してもらう道を探りました。しかし、残念ながら取り壊すことになりました。大きく頑丈であることに価値があるとされた時代に建てられ、灯油を湯水のように使う家は、今の時代に需要がなかったのです。

    建築解体費用も残物処分費もかさむ結果となりましたが、この経験は今まで当たり前と思っていたことを疑ってみるきっかけになりました。

    例えば、建設時はその時の目的のみに目がいきがちですが、どんな建物であれば、後世に人にとって負担とならず、時代に合わせ、フレキシブルに使えるものになるのか―と。

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    また、解体時のコスト負担や環境負荷を考え、できる限り分別再利用し、ゴミにならないような造りにすることは可能なのか。そもそも建設時に石油由来の材料を極力使わないという選択は可能なのか―など、さまざまな課題を与えてくれました。

    ブティックを営んでいた祖母は「衣」の分野では審美眼や保存法が優れていたようで、衣類や小物は状態が良く、受け継いで使えるものがあり、とてもうれしく感じました。

    一つ一つの選択が、その人の考え方や生き方を現します。後世にも影響するタイミングが必ず来るということを心に留め、これからは何十年か先を視野に入れた選択をしていきたいと思います。

    三木万裕子

    三木万裕子(1級建築士)

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    東京都内の建築設計事務所勤務を経て2013年に独立。「三木佐藤アーキ」を主宰し、建物のほか家具のデザインや製作も行う。札幌市内の古い農家の住宅を修復し、夫で建築家の佐藤圭さん、長男の千木(せんぼく)君と3人で暮らす。札幌市出身。

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