子どもの写真 表情豊かに 「脱マンネリ」撮影のコツを聞く

七五三の晴れ着姿で自然な笑顔を見せる子ども。山田聡美さんが、一緒に落ち葉拾いをしながら撮影した

新型コロナウイルスの影響で、年末に向けた行事も制限されることが予想されます。楽しみが減った子どもたちの小さな思い出を逃さず写真に残そうと、家庭でカメラを手にする保護者が多いのでは。でも、撮りためた写真を見たら、カメラ目線でピースサインをする似たような写真ばかり―なんてことになっていませんか? 子どもたちの姿をより印象的に撮る「脱マンネリ写真」の裏技を、撮影のプロに聞きました。

一緒に遊び、笑顔パチリ

発表会や行事で子どもがおしゃれした姿は記念に撮影しておきたいですね。でも、子どもの自然な笑顔を引き出すのに苦労する人は多いでしょう。

「正面からカメラを向けて『はい、笑って―』じゃ、子どもの表情は硬くなる。撮影前にまず子どもと一緒に遊び、笑顔が出てきたところでさりげなくカメラを向けるのが、生き生きした顔を撮るこつ」。札幌市豊平区で写真スタジオ「fill(フィル)」を主宰する山田聡美さん(53)は、そう助言します。

山田さんは札幌の子育て情報サイト「ママチャ」などが2003年から市内で開く乳幼児撮影会を担当し、延べ1万人余りの笑顔を撮ってきました。

山田さんによると、背景にしたい建物などから数メートル手前に子どもを立たせ顔にピントを合わせると、子どもが強調され、背景がぼやけたメリハリのある写真になります。逆光の時はストロボを使うときれいですが、ストロボを使わずに太陽を子どもの斜め上にして撮ると立体感が出ます。また、子どもの目線より下から撮ると、表情に躍動感が出るといいます。

スマホの機能活用も

近年は、カメラ代わりにスマートフォンを使う人が多いです。「スマホで、手軽におしゃれな写真が撮れます」と言うのは、スタジオ「札幌TSUNAGU PHOTO」の斉藤愛美さん(36)=札幌市手稲区=。乳幼児や家族を柔らかなタッチで撮影した写真が人気です。

スマホで撮影する時に、スマホを縦に構える人が多いですが、斉藤さんは「スマホの写真は長方形なので、横の方が、奥行きのあるおさまりのいい写真になる」と言います。斉藤さんが勧める構図は「3分割」。横にした画面を縦に3分割する線を2本引いたと考え、どちらか一方の線上か、3分割された画面の左右いずれかの端の画面に子どもを入れて撮ると、背景に溶け込んだ雰囲気のある写真になります。撮影画面に線を引くグリッド機能がある機種もあります。

子どもを中央にしたい時は、子どもの顔と背景のバランスを「日の丸」のイメージにすると、子どもの表情が強調されるそうです。

斉藤さんは、スマホの画像編集機能の活用も勧めます。逆光で顔が暗くなったら、まず全体を明るく補正。さらに「彩度」を好みで調整し、「シャドウ」を薄くすると、ふんわりした写真になります。色調整でオレンジを強くすると暖かみが加わり、被写体周辺の光量を落とす「ビネット」を上げると子どもが強調され、雰囲気が出ます(機能の呼称は機種により異なります)。

逆光で暗くなった全体を明るく補正し、明るさと彩度、シャドウなどを調整して、ふんわりした印象に仕上げた

逆光で暗くなった全体を明るく補正し、明るさと彩度、シャドウなどを調整して、ふんわりした印象に仕上げた(斉藤愛美さん提供)


《before》

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さまざまな写真加工アプリもありますが「スマホの機能だけでもいろいろできる」と斉藤さん。ただし加工前の画像も記録として保存しましょう。画像をインターネット上にバックアップするクラウドサービスのあるアプリをスマホに入れておくと、スマホが故障しても写真を失うことがなく安心です。

取材・文/佐竹直子(北海道新聞記者)

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