連載コラム「井澤綾華のうちのごはんができるまで」第2回

下ごしらえは愛 洋風でも、おふくろの味でも

今年の春は駆け足です。井澤農園でもジャガイモの植え付けが始まり、畑の隅や川の縁には、早々とフキが出てきそうです。

子どもの頃に住んでいた父の会社の社宅には、学校のプールほどの大きさの畑がありました。5、6世帯の家族が一緒に畑を作っていて、春にはあちこちに生えるフキやフキノトウ、ワラビを味わいました。

母方の祖父母がよく山菜採りに出かけたこともあり、母は大の山菜好き。ゆでたり、重曹を入れたお湯に浸してアクを抜き、繊維が気になるものは、指先を黒くしながら1本ずつスジを取っていたのを覚えています。

社会に出てから「おふくろの味」を再現したくなり、近くの山で大量にフキを採ったことがあります。初めて全ての下ごしらえをし、大変さに絶句。「ああ、こんなにしてまで母は、家族に山菜を食べさせたかったんだな」と、ほろりと涙が出ました。

手間に見合った良さはあります。豊富な食物繊維は、体が冬にため込んだ老廃物を出し、ほろ苦さの元であるポリフェノールは、体の酸化を防ぎます。

とはいえ、いきなり家族で山菜採りに行くのはハードルが高いですね。旬の時期はスーパーにも売っているので、調理に挑戦するチャンスです。とれたての若い山菜はえぐみが少なく、とっても美味。洋風のおかずの素材にもなりますよ。

もっと食べてね

フキ
おすすめの洋風おかずはトマト煮。味をしっかり染みこませるのがコツで、ベーコンや鶏肉などと一緒に煮込むと、歯ごたえが際立ちます。まずは、風味のマイルドな市販の水煮で試してみるといいかもしれません。

(写真提供:井澤 綾華さん)

井澤綾華さん

管理栄養⼠

いざわ・あやか どさんこ管理栄養士。栄養教諭第一種も取得済み。 北海道夕張郡栗山町にて地域おこし協力隊として活動しながら、農家の一員として食について発信中。

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