息子は自閉症、日常の姿映す 道央の女性、動画サイトに投稿

ママ(右)とみっちゃんの笑顔に、タイトルが重ねられている

ママ(右)とみっちゃんの笑顔に、タイトルが重ねられている

発達障害に理解を深めてもらいたいと、道央在住の女性(41)が自閉症の長男(12)の日常をYouTubeに投稿し、共感を呼んでいます。自閉症の特性である強いこだわりやパニックを起こす様子など、ありのままの姿を公開。2年弱で投稿した動画は約360本で視聴は3400万回を超えています。


動画はYouTubeチャンネル「Hikari Kizuna TV」(ひかり絆TV)に投稿。女性は動画では「ママ」で登場します。長男みつきさん=みっちゃん=は中学1年生で特別支援学級と障害児向けデイサービスに通います。会社員のパパ(39)と小学4年生の長女ことりさん(9)=こっちゃん=の家族4人。

こだわり、パニック「意味あること知って」

みっちゃんは3歳で自閉症と診断され、重い知的障害もあります。動画では食事や遊び、通院時に見せる強いこだわり、パニックに対する家族の姿を映しています。

動画「繰り返すパニック」の一場面。パパ(右)が泣いているみっちゃんと会話している

動画「繰り返すパニック」の一場面。パパ(右)が泣いているみっちゃんと会話している

5月22日に投稿した「繰り返すパニック」では、パニックになって大泣きしているみっちゃんに、パパが話しかけながら一緒に食事したり、室内にテントを張って遊んだりするうちに、少しずつ落ち着いていく様子が映っています。パニックの要因は「新学期で環境が変わった」「予想していない食事が出てきた」などさまざまで、落ち着かせるための対応を紹介しています。

2019年10月に投稿した「我が子が自閉症と診断されたときの私の気持ち」では、問題行動に嫌悪感を抱き、受け入れられなかった時期があったことを告白し「支援サービスの利用が家族も救うことにつながる」と訴えました。みっちゃんに向き合う一方、寂しい思いをした妹こっちゃんのケアも取り上げました。

投稿は19年8月に始めました。女性は「他の自閉症の子どもの動画を見て、こんな表現方法があるのだと知った。パニックで大きな声を出すのは意味があり、本人が最も苦しんでいる。私が学んできた、そういうことを広く知ってもらうために発信したかった」と話しています。

みっちゃんの言葉は少なくても豊かな感情があることに気づき、YouTubeのコメント欄の励ましの言葉にも勇気づけられているといいます。撮影は夫婦で行い編集はママが担当。平日の日中や就寝後、短い動画で2~3時間、長い場合は5~6時間かけます。

家族による動画発信について、札幌学院大名誉教授の二通諭(につう・さとし)さん(特別支援教育)は「自閉症児のいる家庭の日常を映し出すことは、他の障害児がいる家庭にも『似たようなことが起こるんだ』といった安心感や対応へのヒントを与える。さらに自閉症への関心や理解を広げることにもつながるだろう」と分析しています。

「Hikari Kizuna TV」のチャンネル登録者は今月7日現在、5万人。

取材・文/弓場敬夫(北海道新聞 編集委員)

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