子どもが発熱したら? 受診のタイミングは
季節の変わり目のこの時期は子どもも体調を崩しやすいです。特に、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、医療機関を受診するか、自宅で様子を見るか、と迷う保護者は多いのではないでしょうか。子どもが発熱した時の対処法について、北海道小児科医会常任理事の多米淳院長(札幌)に聞きました。
教えてくれたのは
ため・あつし/円山ため小児科(札幌市中央区)院長、札幌市医師会理事・政策部長、札幌市小児科医会参与
全身状態をチェック
「子どもが発熱した時は体温計の数字よりも、熱以外の全身状態をチェックしてください」と多米院長はアドバイスします。受診の目安となるチェック項目として ①機嫌はどうか ②顔色はどうか ③食欲はあるか ④水分補給はできているか ⑤活気はあるか-などを挙げます。
多米院長は「熱が高いほど病気が重いというわけではありません。熱はあっても、元気で、水分も食事もある程度取れているなら、慌てて夜間や休日などに受診しなくても大丈夫。解熱剤を使うなどして自宅で様子を見ましょう」と話します。
生後3カ月未満で38度以上 すぐ受診を
ただ、生後3カ月未満の子が38度以上の高い熱を出した場合や、ぐったりしている、無表情で反応がない、けいれんしている、呼吸が苦しそうでハァハァと肩で息をしている-といった症状がある場合は、夜間でも迷わず受診することをすすめます。
「子どもの発熱の大半は、ウイルスが体内に侵入した感染症によるもので、いわゆる『風邪』。薬を飲まなければ治らないというものではありません」と多米院長。ただ、同じ発熱症状でも抗生剤の投与が必要な細菌による感染症もあり、「判断を誤ると重症化する恐れもある。保護者の『いつもと様子が違う』『何か変だ』という感覚は、理由がはっきりしなくても大切にして受診してほしい。不安があれば迷わず相談を」と話します。
悪寒のある時は暖かい格好を
悪寒のある時は、さらに熱が上がる前兆なので、布団を掛けるなどして暖かくすることが大切です。熱が上がりきって暑がってきたら、掛けていた布団を取り、風通しの良い服装にして、熱を逃がしてあげましょう。多米院長は「暑がっているのに、汗をかかせようと布団を何重にもかぶせるのは逆効果。熱がこもって、脱水の危険性もあります」と指摘します。
受診前には電話相談を
新型コロナウイルスも、基本的な対処法は先述の発熱時の対応と同じでいいといいます。子どもは単なる風邪でもこうした症状が出やすいので何日か寝れば治るなどと判断せず、まずは、かかりつけの小児科に電話で相談しましょう。
新型コロナウイルスも、同時流行が懸念されるインフルエンザも、発熱やせきなど初期症状は風邪と同じため、症状だけで判断するのは難しいです。医療機関によっては発熱患者と一般の患者を分けるため、診察時間や待合場所などを分けて対応しているところもあります。
そのため、発熱やせきなどの症状がある場合、かかりつけの小児科に電話で相談。新型コロナウイルスの疑いがある場合、その医療機関が診察や検査が対応可能な医療機関(診察・検査医療機関)の場合は受診し、対応できない場合は診療可能な医療機関に案内してもらいます。かかりつけの小児科がなかったり、相談先がわからない場合は、道などの専門窓口に電話をすると、近くの対応可能な医療機関を案内してもらえます。
受診時に「いつから」「何度の熱が」「どのくらい続いたか」「熱以外の症状」「何か薬をあげたか」-などを医師に伝えられるようメモするなどしておくといいでしょう。
気温差、乾燥に注意
季節の変わり目は寒い日と暖かい日が混在し、1日の中でも気温や湿度の差が大きいです。多米院長は「天気予報で気温を調べ、脱ぎ着が簡単にできるような服装で体温調節を」とアドバイスします。また、皮膚のバリアー機能の低下が皮膚のトラブルにつながることから、乾燥してくるこの時期は全身の保湿ケアも大切にしたいですね。
多米院長によると、体調を整える役目をしている自律神経は、子どもほど働きが未熟で、温度や湿度、気圧の変化が激しいこの時期、対応できずに調子が悪くなりやすいといいます。そのため、「ゆっくりお風呂に入るほか、散歩など軽い有酸素運動やストレッチなどでリラックスする時間をつくったり、食事や睡眠をしっかり取ったりして、規則正しい生活を心がけてほしい」と話しています。
取材・文/根岸寛子(北海道新聞記者)
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