早まるランドセル選び 「ラン活」経験の保護者に聞く

さまざまなメーカーのランドセルが並ぶ早期予約販売会を訪れた家族連れ=6日、イオン札幌発寒店

来春に入学する児童向けのランドセル販売が、道内でも本格化しています。色やデザインが多様化する中、どう選ぶかは保護者の悩みです。メーカーを探してカタログを取り寄せたり、SNSで口コミを調べたり、展示会に行ったりする「ラン活」の経験を新1年生の保護者に聞きました。

カタログ、SNS駆使 「年中」の頃に購入も

ラン活の時期は早まっていて、子供が保育園などの年中のうちに終える人もいます。函館市の社会福祉士木村侑紀衣さん(34)は1年生の壮志君(6)が年中の秋ごろに選び始め、昨年3月に購入を決めました。丈夫さなどを重視し、取り寄せたカタログの中から選択。黒色で外側に凹凸のあるエンボス加工が施されている製品で「(壮志君が)内側の柄を気に入って即決した」とデザインが決め手となったといいます。

札幌市のパート今美早さん(34)も、娘(6)が年中の昨年2月に店舗で値引きされたランドセルを見つけ、娘も気に入って購入しました。検討を始めたのは一昨年の夏で、ホームページを見たり、カタログ請求したり、SNSで先輩ママに体験を聞きました。娘の色の希望が定まらないことや、値段の高い製品があり悩んだといいます。「保護者の意思を固めてから、子供に声をかけると後悔がないのでは。安く買いたい人はセールになる年明け以降が狙い目で、ブランドにこだわるなら早めに資料請求して調べ、早割などで買うと良いと思う」と助言しています。

「早く決めてしまうと心変わりが心配だった」という上川管内比布町の公務員藤原朝美さん(46)は、昨年10月ごろに旭川市の商業施設で選びました。俊太朗君(6)と事前に青色と決めていて、店内の製品から選択。「早生まれで体が小さい。背負って体に負担の掛からない、肩に合うものにしました」。

軽い布製 ランドセル型リュックにも注目

真新しい布製のランドセルを背負い、ポーズを決める山口咲子さん

通学時の荷物の多さが問題となる中、ランドセル型のリュックなどを検討する人は多いです。札幌市の自営業山口真規子さん(39)は、3回目の次女咲子さん(6)のラン活で布製ランドセルを購入しました。道外在住の友人がSNSで収納力の高さを紹介していてひかれました。革のランドセルに比べると安く、軟らかいので荷物が入れやすいです。6年の長女、3年の長男は、両手に荷物を抱えて登下校することもあります。「札幌で展示会があり、背負って気に入って決めた」と話していました。長女の時はカタログで、長男にはふるさと納税の返礼品から選び、2人とも気に入って使い続けているそうです。

ランドセルを6年間使うかどうかは、地域などで異なるようです。札幌市の6年生石井理華さん(11)は「柄がすごく好き。小学生しか使えないので卒業まで使う」と、えんじ色のランドセルを背負って笑顔を見せました。母の会社員知子さん(38)はカタログから決め「背負った時の感覚はネットで調べた」と振り返ります。通学時間が長い子は軽いリュックに買い替えているといい「重さと容量をみると良いと思う」と話していました。

6年間使う予定のランドセルを背負い、笑顔を見せる石井理華さん

一般社団法人日本鞄協会ランドセル工業会によると、今年入学した児童の保護者への全国調査では、入学1年前の4月にランドセルの検討を始める人が多く、購入のピークは5月でした。購入価格の平均は5万9138円。色は男の子が黒、女の子は紫が1位でした。

トレンドは「軽量、大容量」

ランドセル市場では、軽量化や大容量化が進んでいます。

イオンが展開する「かるすぽ」の新作「みらいポケットワイド」(7万1500円)は、マチが最大21.5センチ。ポケットのマチ3センチを8センチに拡張できるのが特徴です。保護者の声を受けて開発しました。24色展開の「はなまるランドセル24」(3万8500円)の今年の製品は、昨年より10グラム軽い970グラムになりました。

ランドセル型のリュックの需用も高いです。ニトリは昨年から「軽量ランドセル」として販売しています。来春の入学生向けには、汚れが付きにくくひっかき傷に強い「Nシールド」の生地で約840グラムの「超軽量ランドセルNシールドF」(1万9990円)など2種を予約販売中です。店頭には6月から並ぶ予定です。

小樽で親しまれるナイロン製のかばん「ナップランド」を販売するバッグのムラタも、マチ幅を広げた製品を昨年から販売しています。約850グラム、8800円で、東京や大阪など道外からの注文もあるといいます。

取材・文/石橋治佳(北海道新聞記者)

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