「ゆきりん先生」連載を終えて 筆者・本多抽紀江さん 学びを幸せにつないで 家庭は最適な環境

   本多抽紀江さん

北海道新聞くらし面などで連載されたコラム「ゆきりん先生の親子でおうち学習」が10日掲載の第60回「受験結果と向き合う」で最終回を迎えました。家庭教師歴31年の筆者「ゆきりん先生」こと本多抽紀江さん(49)は「子どもが将来幸せになるために学ぶ、という目標を家族で一緒になって理解してほしい」と指摘します。

――子どもたちが家庭で学ぶ意義とは。

「学ぶことは楽しい、と知る最適な環境は家庭です。だから、本来の対象が子どもである家庭教師として、家族にもアプローチしています。そもそも学習することは生きていくための道具を身につけること。何が役立つか分からないけれど、将来に向けてさまざまな道具を持っておくために学びが必要だと考えています」

――60回にわたるコラムの中で力を入れてきた点は何でしょう。

「学習は机上だけでするものではありません。日常の中での学びは、体験と結びついて深いものになります。例えば第6回『料理で数字体感』で、ホットケーキミックスの重さのグラム、牛乳のかさのミリリットル、『半分』が『2分の1』であることなどを、親子で一緒に料理するとイメージしやすくなると説明しました」

――2020年以降、新型コロナウイルス感染拡大で家庭学習が増えました。

「第15回『コロナ下の勉強法』で、受け身の勉強から自ら進んで勉強する姿勢に変えるチャンスだと記しました。第31回『休校に備える』では、家にいても学校の時間割通りに学習を進める方法も有効だと強調しました」

――父母の役割についても論じています。

「母親の方が家庭学習の中心に多くなりがちです。第19回『パパの役割』では、父親が普段の家庭学習に関わっていないのであれば、頑張っているママに感謝の言葉を伝えてみましょうと勧めました。大切なのは、勉強についていつでも話し合える風通しのよい家族です」

――学習時の身体姿勢も重視していますね。

「第22回『良い姿勢、しぐさ』で書きましたが、子どもたちに接してきた経験として、テストで最後まで力を出し切るのは姿勢の良い子で、集中力や忍耐力に関係あると実感しています。そのほか、屋外で体を動かすことが身体だけでなく、心にも良い影響を与えることにも言及しています」

――学習の目標の一つとして受験があります。

「受験で合格することは子どもの自信につながります。しかし、本当は受験合格が学習の目的ではありません。学びとは、子どもが幸せな人生を送るための手段です。結果がどうあれ『学んだこと』は決して無駄にならないと、家族みんなで認識してほしいです」

略歴

ほんだ・ゆきえ 胆振管内安平町出身。北見工業大で土木工学を学んでいた学生時代に家庭教師を始める。大学卒業後にいったん就職するが、その後、プロ家庭教師として活動。現在は関東や関西へ出向いて幼児から高校生までを対象に指導するほか、オンラインでは米国やドイツ、インドなどにも教え子がいる。在住する安平町で学習教材販売やアドバイス発信する「ぱんだちゃんのおうち学校」を設立し、校長を務めている。「ゆきりん先生の親子でおうち学習」は2019年4月から月1回、5年間にわたって掲載した。

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