中標津町 産後ケア「GMT(ジモト)」でママ笑顔に

「産後ケアGMT」の後列右から水野正司さん、橋本美和さん、左端は国見真生さん

「産後ケアGMT」の後列右から水野正司さん、橋本美和さん、左端は国見真生さん

赤ちゃんをベビーカーに乗せた家族連れが、根室管内中標津町で開かれたイベント「赤ちゃん食堂」の会場を次々と訪れた。乳児に離乳食、ほかの家族にランチを無料で提供する取り組み。赤ちゃんを託児スタッフに任せるなどして、解放感と温かい食事を満喫する母親たちの笑顔が会場にあふれた。

「子育てに追われて何もかもが大変。自分の時間がないので、本当にありがたい」。酪農業の夫を自宅に残し、1歳2カ月の男児と3歳の女児を連れた主婦(37)はこう話し、けんちん汁、鶏肉のうま煮などを味わった。1月下旬、大型商業施設内で開かれた3時間限定の「赤ちゃん食堂」に、1~3人の子供を連れた家族11組が参加した。

企画したのは、子育て支援の仕組みづくりを目指す町民グループ「産後ケアGMT」。GMTは「ジ・モ・ト」の略で2022年に活動を始めた。メンバーは、元小学校教諭で「子育て支援クリエーター」として講演などを行う水野正司さん(61)、FMなかしべつ放送パーソナリティーの橋本美和さん(44)、助産師の国見真生(まき)さん(39)。

3人はいずれもFMなかしべつの番組「子育てエトセトラ」の出演者で、番組内で「長時間、赤ちゃんと2人きりでいると、産後うつにつながる可能性がある。防ぐために何かできることはないか」と話し合ったことが発足のきっかけとなった。

資金はクラウドファンディングや地元企業の寄付で集めた約15万円。「まず子育てから離れ、リラックスできる時間を」と、この資金で準備した整体の補助券2千円分を提供し、施術の間に赤ちゃんを預かるサービスを行うと、昨年4~11月に23人が利用した。同11月には、無料託児室に子供を預けて買い物を楽しめるフリーマーケットを開き、約100人が訪れた。

次に取り組むのは、町内での「産後ケアホテル」開設の可能性を探ること。宿泊中に乳児を預かり、授乳指導やマッサージのサービスを提供するなど、産後の母親の心と体を癒やす場所だ。「行政サービスもあるが、子育てを休みたいという人たちが泊まれる場所を地元に用意し、つらくなった時に気軽に使ってもらえるようにしたい」と水野さん。札幌の先行例を学び、構想の実現に向けて歩み出す。

3月に解散予定だったが、活動の継続を求める声を受けて変更。高校での出前講座などを行いながら、産後ケアホテル実現の下準備に励む。

文/北海道新聞中標津支局長・実松充洋

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