子どもが水筒を持ち歩くときの転倒事故に注意! 消費者庁「なるべくリュックに入れて」

写真はイメージ(YUMIK / PIXTA)

子どもが転倒した際に、首や肩から提げていた水筒が腹部に当たってけがをする事故が全国で起きています。本格的な冬が近づく道内は今後、凍結による転倒が増えるため注意が必要です。内臓を損傷した事例もあり、消費者庁は「なるべくリュックサックなどに入れて」と呼びかけています。

腹部強打、内臓損傷の事例も

消費者庁などによると2010年12月~23年8月、全国の医療機関から水筒を提げた子どもの事故に関する情報提供があったとして、今年8月に同庁ホームページなどで注意喚起しました。

事故の件数は公表していませんが、具体例としては「坂道で転倒し、腹部を強打。脾臓(ひぞう)損傷のため集中治療室に入院した(9歳)」「転倒し、首から提げていた水筒が地面とおなかの間に挟まった。膵臓(すいぞう)50%程度と脾臓を摘出した(7歳)」のほか、未就学児がけがをする事例もありました

近年は熱中症対策のほか、新型コロナウイルスの感染対策として、登校時などに水筒を持ち歩く子どもが多くなっています。子ども用の水筒はプラスチック製やステンレス製のひも付きで、容量は300~600ミリリットル台が主流。580ミリリットル用だと直径は約7センチ、高さは約25センチになります。

保護者らはどのように気を付けているのでしょうか。双子の男児(4)を育てる札幌市中央区の女性(38)は「水筒はリュックにしまうか、体の横にかけるよう伝えている」。同区で7歳と2歳の男児を育てる会社員女性(38)も「水筒を体にかけたまま走らないよう、口酸っぱく言っている」といいます。

幼稚園などでは、散歩など外出の際に幼稚園教諭らが園児の水筒を集め、かごに入れて持ち歩くなどの対策を取る例もあります。

一方で、子どもが水筒の斜めがけをせざるを得ない事情もあります。函館市の会社員女性(35)は、長男(7)がコロナ対策などのため登下校時に水筒を持ち歩いており、いつもはランドセルに入れています。でも、学校にタブレット端末を持って行く日は、端末とぶつかることなどを防ぐため水筒をランドセルに入れず、斜めがけするルールがあるといいます。

これからは路面が凍結して滑って転ぶ危険性もあるため、会社員女性は「熱中症の心配が少ない冬は水筒を持たず、コロナ対策に気を付けながら共用の水飲み場を使っても良いのでは」と話します。

水筒を体に提げていると、ひもが首や腕にからまったり、遊具に引っかかったりすることもあります。消費者庁消費者安全課は「水筒をなるべくリュックなどに入れ、かけている時は走らず、遊具で遊ぶ場合は下ろしてほしい」と呼びかけています。

手をついて防御 筋力が大切
道医師会常任理事・三戸さんに聞く

子どもが水筒を首や肩に提げたまま転倒する事故の危険性や予防策について、北海道医師会常任理事で清田小児科医院(札幌市清田区)院長の三戸和昭さん(72)に聞きました。

三​戸​和​昭​さ​ん​

            三​戸​和​昭​さ​ん​

10歳前後までの子どもは腹筋が弱く、皮下脂肪も少ないため、腹部に衝撃を受けると大人よりもけがをしやすいといえます。特に膵臓(すいぞう)や脾臓(ひぞう)、腎臓などは破裂する可能性があります。

さらに新型コロナウイルスの影響で体を動かして遊ぶ機会が減ったことで、運動機能が落ちたり反射神経が鈍ったりした子もいます。そうした子は、転んだ時に手をついて防御することが苦手になっています。

転倒しても手をつけるよう外遊びで筋力を付けること、また水筒はリュックに入れて両手を空けることが大切です。どうしても水筒を斜めがけするなら、体のバランスが安定するよう荷物は軽くし、水筒は体の横に来るようにしましょう。

水筒が腹部に当たった後、吐いたり意識がもうろうとしたり、顔が青白くなったりする症状が見られたら、内臓を損傷している可能性がありますから、すぐに病院に行きましょう。

取材・文/尾張めぐみ(北海道新聞記者)

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