【こどもの本棚】安東みきえ『ふゆのはなさいた』
今回のテーマは「もうすぐ冬」
推薦者 高橋奈緒美さん(帯広市図書館)
話して知れた友の気持ち
冬が近づく中、気持ちが温かくなる絵本を高橋さんに教えてもらいました。
入院することになった小学5年の空花(そらは)が、患者向けの図書館で不思議な体験をする「ふゆのはなさいた」(安東みきえ文、吉田尚令絵/アリス館)=写真=の「こねずみ」は、初めての冬を迎え、池の前で泣いていました。「だってぼく、ひとりぽっちなんだもの」。友達だったツバメはどこかに飛んで行き、ヤマネは目をつむって知らん顔です。花も咲きません。金魚は「ないちゃだめ」と、春になればみんなと会えることを教えます。
翌朝、今年初めての雪が降りました。こねずみは「白い花が咲いた」と喜びますが、会う約束をした金魚は池から出てきません。涙を流すこねずみに、金魚は「ちがうってば」と氷の下から呼びかけます。実は金魚もさみしい思いを抱えていたのです。
「話してみると思い込みと違うことがある。優しい気持ちになれる本です」と高橋さん。ラストに登場する「冬の花」に圧倒されます。4歳から。
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(2023年11月14日 北海道新聞帯広・十勝版掲載)
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