紙芝居づくり 家族でワクワク! 絆を強め想像力や好奇心育む

長野ヒデ子さん(右)のアドバイスを受けて紙芝居の絵を描く親子

幼稚園・保育所や小学校などで、誰もが親しむ紙芝居。作家、演じ手、観客の三者で作り上げ、演じ手と観客が一体となって楽しめる、身近な芸能でもあります。紙芝居づくりから家族で一緒に取り組んで、ワクワクしてみませんか。

四つの場面を基本に

絵本・紙芝居作家で、紙芝居文化推進協議会会長の長野ヒデ子さん(82)=神奈川県在住=が講師となった紙芝居づくりのワークショップと講演会(市こども人形劇場こぐま座など主催)が9月下旬、札幌市中央区の市中島児童会館で開かれ、未就学児や小学生とその保護者らが参加。お話を考えて4枚の画用紙に絵を描き、みんなの前で発表するまでを体験しました。

長野さんは、描いたそれぞれの画面が四つの場面を表現できれば、紙芝居の基本的な展開がつくれるとの考えから①誰かが何かをして、何になったと考えると四つの場面になる②次の場面に移るため画面を引き抜く時のことを考え、脚本は縦に書く③1枚目の脚本は最後の画面の裏に書く―などをアドバイスしましました。

9組の親子は画用紙にクレヨンで絵を描き、裏に脚本を書いて、思い思いの作品を完成させました。続いて、舞台と呼ばれる木製の四角い枠を使って上演しました。

ホットケーキの作り方についての作品を仕上げた、札幌市有明小2年の佐川道佳さん(8)は、①タイトルとホットケーキ②卵や牛乳などの材料をボウルに入れる③フライパンで焼く④パーティーを開いて食べる―という場面を設定し、元気に演じました。佐川さんは「紙芝居を作ったのは初めてで楽しかった。おうちでも、好きなお菓子を内容にした紙芝居を作りたい」と笑顔を浮かべました。

他の子どもは、恐竜ティラノサウルスの子どもが母親を探す中でトリケラトプスに出会い母親を見つけて家に帰る物語や、ウサギが遠足に出かけて山を登ったり弁当やお菓子を食べたりする作品を作りました。

題材は日常の何げない出来事で

紙芝居を上演する長野麻子さん。歌う場面では身ぶり手ぶりを交えて演じ、参加者も一緒に歌った

長野さんは紙芝居の特徴について「ゆったりとした時間と生身の声で演じる心地よさがあります。生身の声で演じることで絵が動き出します。絵の中に自分が入り込んだり、絵が飛び出したりする感覚があります」と説明。「題材は日常の何げない出来事の中にあり、家族で作って演じると楽しみが大きく絆が強まります。子どもの想像力を育み、好奇心もくすぐります」と効用を説きました。

また、紙芝居の魅力について長野さんは「声の出し方や画面の抜き方で、登場人物の性格や場面などを表現できる」と語りました。この日は、共著の絵本や紙芝居がある長女の長野麻子さん(51)=東京成徳大子ども学部教授=も登場。声のトーンや画面を抜く速さなどを変えながら演じ方を伝えました。童歌を基にした紙芝居の上演も母娘で行い、身ぶり手ぶりを交え情感を込めて歌ったり、参加者に呼びかけて一緒に歌ったりしました。

舞台を活用 鍵付きの扉やカーテン付きも

紙芝居の舞台について説明する長野ヒデ子さん(左)と麻子さん

舞台は、扉に鍵が付いていたりカーテンが付いていたりとさまざまで、何種類かの紹介も行われました。長野ヒデ子さんは「扉やカーテンがあると、子どもたちはワクワクします。舞台の力は大きく、子どもは何か仕掛けがあると思って裏側をのぞこうとします。舞台を使って演じてほしい」と強調しました。

取材・文/熊谷知喜(北海道新聞記者)

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