ダウン症児向けエクササイズ 忍者やヒーローになりきって鍛えよう!

黒田昌樹さんがプロデュースする北海道のご当地ヒーロー「舞神 双嵐龍」©Dosanko Hero Project

忍者やヒーローになりきって体を鍛えよう! ニンニン! 国内外で活動する双子忍者パフォーマー「双龍(ツインズ・ドラゴン)」の黒田昌樹さん(40)=札幌市出身、茨城県つくば市在住=が、ダウン症候群のある子ども向けに、楽しく体を鍛えられるエクササイズをつくっています。ダウン症のある5歳の長男「U(ユー)くん」と体を動かして遊びながら、療育施設などとも協力して試行錯誤を続けています。14日に札幌でイベントを開き、披露します。

「Uくんのパパ」SNSでダウン症育児発信

エクササイズの片足立ち忍者ポーズを決める黒田昌樹さん(奥)とUくん(黒田昌樹さん提供)

黒田さんは、双子の兄朋樹さん(40)=札幌在住=とともにプロのスタントマン。2人は双龍として欧州最大の日本文化の祭典、フランスの「ジャパンエキスポ」などに出演しています。

黒田さんは育児については「ダウン症のUくんのパパ昌樹」として、交流サイト(SNS)のインスタグラムなどで発信しています。保育園行事の踊りをノリノリで練習していたのに本番では踊らない…といったダウン症児の親がうなずきやすい話題から、初めての父子2人北海道の旅まで写真や動画で投稿。とりわけダウン症のある子が生まれた人、あるいは障害者と接したことがない人に向け、共に生きていこうとのメッセージを込めています。

キックや片足上げ 発達促す動き取り入れ

忍者走りのポーズ(黒田昌樹さん提供)

エクササイズに取り組むきっかけは、コロナ禍でした。SNSで茨城県や横浜市のダウン症の団体とつながり、オンラインで忍者やヒーローのショーを開催。その際、子どもたちが楽しく体を鍛えられる遊びがないかと相談されました。

ダウン症のある人は、体がやわらかかったり、筋肉の緊張が低かったりする傾向があります。「Uくんも苦手な動きがあり、同年齢の子に比べて走るのもゆっくり」と黒田さん。エクササイズは、Uくんが通う療育施設や保育士の助言を得ながら、発達を促すような動きを取り入れます。オリジナルの曲に合わせてヒーローキックやパンチ、忍者走り、片足を上げて忍者のポーズなど、Uくんと遊びながら構成を考えています。

10月14日札幌でイベント 地域でつながる機会に

双子忍者「双龍」の黒田昌樹さん(右)と朋樹さん©Dosanko Hero Project

14日のイベントはダウン症のある子ときょうだい、友達が対象。神奈川、茨城に加え、黒田さん兄弟の活動拠点の一つである札幌でも開くことにしました。

「これを機に地域で家族同士の交流が広がれば」との願いもあります。黒田さんは元幼稚園教諭で、Uくんが生まれてからダウン症の本を50冊読んで勉強しました。ただ、行政からの情報提供は少なく、先行きが見えなかったそうです。親の集いに参加して、療育や行政への申請など体験談を聞き「視界がスッと晴れた」と言います。「コロナ禍の間に子どもが生まれた家庭は、仲間や情報を得る機会が少ないのでは」

イベントでは忍者やヒーローのショーのほか黒田さんのトークもあり、ダウン症育児について話します。

Uくんは保育園の運動会などで、会場の雰囲気にのまれるのか動けなくなることがあります。今年の春に黒田さんが保育園で忍者パフォーマンスをした時、チャンバラの参加者を募ると、恥ずかしがる子が多い中でUくんがビシッと手を挙げたそうです。堂々と立ち回る姿に「超泣きそうになった。発達がゆっくりだからこそ、普通は見逃してしまう成長に気付けます」。

「ダウン症児の子育ては療育や通院で大変な時もあるけれど、幸せで最高な時がたくさんあるということを共有したいです。とにかく、なまらめんこい。Uくんは僕のヒーローなんだ」。黒田さんはそう力を込めます。

14日のイベントは午後2~3時、東札幌まちづくりセンター(札幌市白石区東札幌2の4)。「双龍」と、黒田さんがプロデュースする北海道のご当地ヒーロー「舞神(ぶじん) 双嵐龍(ソーランドラゴン)」のミニアクションショー、子育て泣き笑いトーク、エクササイズなど。参加無料。申し込みはこちらの専用フォームから。定員50人になり次第締め切ります。問い合わせは黒田さんのメールnpo-whp@tam-p.jpへ。

取材・文/山田芳祥子(北海道新聞記者)

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