花火による子どものやけどに気をつけて おうち花火を安全に楽しむための対策と注意点

写真はイメージ(irohana / PIXTA)

お盆が過ぎたこの時期、短い夏を惜しむように家庭用の「おもちゃ花火」で遊ぶ人はいるでしょう。ただ、子どものやけどなどけがのトラブルは絶えず、煙を吸って呼吸困難になったケースもあります。日没後、肌寒いからとフリースなどの化繊素材の服を羽織っていて、火花が当たると急に燃え広がる危険性も。花火遊びの注意点や、やけどを負わないための対策を確認しましょう。

化繊の服、引火の恐れ/バケツに水をくんで準備を

国民生活センターによると、2018~22年度の5年間で、花火遊びでやけどを負った情報は60件あり、うち8割以上が6歳以下の幼児。さらに、そのうち約7割を1~3歳児が占めました。主な要因は、火花などに当たったり、直接触ったりしたことでした。

花火遊びの注意点とけがの事例

札幌市消防局のまとめでは、火花が目に当たりけがをした2歳男児や、火の粉が当たって着衣に引火した20代女性の事例がありました。花火の消火が不十分でごみ袋から出火したり、9歳女児が煙を吸って呼吸困難になったりしたケースもありました。

花火遊びでは大人でも不注意でけがや火事につながることがあります。火や花火の扱い方をまだ知らない幼児はなおさらで、けがのリスクが増します。

安全に楽しむにはまず、風の向きや地面の状態を確認します。国民生活センターの実験では、2歳児(身長約90センチ相当)がそよ風程度(風速1~2メートル)の風を正面に受け、手持ち花火をした場合、火花が腹部や下半身に当たることが分かりました。また、ぬれた地面やバケツの水の上で線香花火をすると、落ちた「火玉」が爆(は)ぜて大きく飛び散る危険性も示されました=図=。

線香花火が爆ぜる様子

さらに、花火の種類によっては火が消えた後の燃えかすにも気を配りましょう。実験では、幼児がやけどをしやすい目安とされる70度を下回るまでに、地面に落ちてから1分以上かかることが計測されました。

バケツに水をくんでおくといった準備も大切です。同市消防局予防課防火安全係長の曽根敏夫さん(48)は「花火のパッケージに記載されている対象年齢を守って。大人の目の届く範囲で遊ばせるようにし、目を離さないように」とアドバイスします。また、「火花の出方が違う花火で同時に遊ばせないでほしい」と注意を促します。例えば、火花が勢いよく噴き出す花火をしている隣でしゃがんで線香花火をすると、火の粉がかかる恐れがあるといいます。

服が燃えたら…走らず、地面に擦りつけて消火

服装についてはどうでしょうか。曽根さんは「肌の露出の多い服や靴、袖口が広がる浴衣などは避けて」と指摘します。服の素材についても「綿や麻は燃えにくい一方、フリースやダウンは燃え広がりやすくて危険。肌寒い場合は燃えにくい素材の上着を羽織って」と勧めます。

水をかけても火が消えない時の対処法

もし火が付いても、冷静に対処しましょう。十分に水をかけても火が消えない場合、同市消防局は、地面に擦りつけ、摩擦で消火する『ストップ、ドロップアンドロール(止まって倒れて転がる)』という方法を知ってほしいと呼びかけています。慌てて走ると、かえって火の勢いが強くなりやすいため、非常に危険です。「着衣に火が付くと、大人でもパニックになる。花火遊びの前に、この動作を子どもと一緒にやってみては」(曽根さん)

花火遊びが禁止されている公園や河川もあります。自治体のルールを守り、準備や確認をした上で、安全に楽しみましょう。

取材・文/神田幸(北海道新聞記者)

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