ヘルパンギーナ、咽頭結膜熱、手足口病…子どもの3大夏風邪、今年は要注意!

写真はイメージ(miyuki ogura / PIXTA)

乳幼児がかかりやすい「夏風邪」と呼ばれる感染症があります。口の中に発疹が出るヘルパンギーナと手足口病、目が充血し痛む咽頭結膜熱の三つが代表的です。今年の道内はヘルパンギーナの流行が7年ぶりの規模となっています。いずれものどが痛みますが、炎症や発疹などの状態が異なります。それぞれの症状をまとめ、看病の仕方を小児科医に聞きました。

発熱、のどの痛み、水疱…脱水症状防いで

国立感染症研究所によると、ヘルパンギーナと咽頭結膜熱は発熱から始まることが多いそうです。

ヘルパンギーナ

ヘルパンギーナは発熱に続いて口の奥、口蓋垂(こうがいすい)(俗称・のどちんこ)のまわりに水疱(すいほう)性の発疹ができます。2~4日で熱は下がり、その後に発疹も治まります。発熱時に熱性けいれんを起こすことがあるので注意が必要です。

咽頭結膜熱

咽頭結膜熱はのどが赤く腫れて痛みます。特徴的な症状は結膜炎で3~5日間続きます。一般的に片方の目から充血や痛みが始まって、もう片方の目も炎症を起こします。

手足口病

手足口病は病名通り、唇の裏や舌、手のひら、足の裏に水疱性の発疹が出て、3~7日で消えます。発熱する患者は3分の1ほどで、ほとんどが38度以下です。

ヘルパンギーナと手足口病は主にエンテロウイルスが原因で、まれに髄膜炎など重症化することがあります。嘔吐(おうと)や激しい頭痛、ぐったりしている、手足口病で発熱が2日間以上続くといった症状があれば医療機関を受診することが望ましいようです。

夏風邪の特徴

一般的にこの三つは、いずれも自然に治ります。治療薬はなく、必要があれば解熱剤で熱や痛みを抑えます。口やのどの痛みで子どもが飲食を嫌がることが多いため、脱水症状を防ぐことが重要です。北海道小児科医会長を務める土田こどもクリニック(旭川)の土田晃院長(67)は「苦みや塩気がある食べ物はしみるので避け、アイスクリームや豆腐、冷ましたおじややグラタンが良いでしょう。オレンジジュースは酸味があるので避けてください」と話します。

同クリニックでは6月初旬からヘルパンギーナの患者が増え、下旬には1日10人ほどが来院しました。脱水症状や熱性けいれんを起こした子もいたそうです。咽頭結膜熱は2、3日に1人、手足口病は1日1人程度で、流行期はこれからです。「今年は旭川でヘルパンギーナの重症化は聞いていませんが、水分が取れない、高熱が続く時などは受診してください」と呼び掛けます。北海道小児科医会は、発熱時の受診の目安などをまとめたハンドブック「こどもの急病」をホームページに掲載しています。

飛沫(ひまつ)や接触で感染が広がるため、こまめなうがい手洗いが欠かせません。ヘルパンギーナと手足口病は、症状が治まってから1カ月近く便からウイルスが排せつされます。大人もかかることがあり、おむつ交換後の手洗いは念入りに。新型コロナウイルスは感染症法上の位置付けが5類となりましたが、感染対策は継続したいものです。

保育・幼稚園へは、咽頭結膜熱の場合、学校保健安全法などにより症状が消えて2日経過するまで原則出席停止とされています。ヘルパンギーナと手足口病は、自治体や園により登園の目安が示されていることが多いです。

道内の感染状況 警報レベルも

夏風邪の特徴

北海道感染症情報センター(札幌)によると、道内の定点医療機関1カ所当たりのヘルパンギーナの患者は、直近1週間(6月26日~7月2日)は6.01人で2016年以来の水準となっています。道内8保健所管内で警報レベル(6.00人)を超え、小樽市保健所管内は18.67人、北見保健所管内は17.25人です。咽頭結膜熱は道内は0.95人ですが、小樽市、紋別の両保健所管内は3.33人で警報レベル(3.00人)を超えています。手足口病は道内で0.23人となっています。

取材・文/山田芳祥子(北海道新聞記者)

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