「ラン活」親子で楽しんで 購入までのスケジュールや選び方のポイントは

写真はイメージ(horiphoto / PIXTA)

保護者らが新入学児童のランドセル選びに力を入れる「ラン活」。年々、商戦のピークが早まる中、「いつごろから何をしたら良いのだろう」と戸惑う家庭もあります。商品の多色・多様化が進む時代に、保護者はどのような視点を持って選べば良いのか、売り場などを回って探りました。

進む多色・多様化

お気に入りのランドセルを背負ってみる子ども=5月1日、札幌市東区のイトーヨーカドーアリオ札幌店

お気に入りのランドセルを背負ってみる子ども=5月1日、札幌市東区のイトーヨーカドーアリオ札幌店

5月上旬、札幌市東区のイトーヨーカドーアリオ札幌店で、市内の保育園に通う中央区在住の斉藤凛ちゃん(5)が家族とランドセルを選んでいました。売り場は、黒や赤だけでなく、水色や薄紫色の淡い色から、茶色など落ち着いた色までさまざまな商品が並んでいます。母の香寿美さん(39)は「人気の色はすぐに売り切れると聞き、3月末から調べていました」と話します。カタログを取り寄せ、何度か店に足を運び、凛ちゃんが気に入ったピンク色に決めました。

ピークは5月

国内の製造会社36社で作るランドセル工業会(東京)によると、商戦の時期は早まる傾向にあり、30年前は前年の11月からだったが、10年ほど前から、お盆がピークになり、近年は5月にヤマ場を迎えています。会長の林州代さんは、「人気商品を早く買おうという風潮があります」と分析します。

同会によると、かつては黒と赤が主流でしたが、2001年にイオン(千葉市)が24色を展開したことを機に多色化が進んだといいます。道内では、イオン札幌発寒店(札幌市西区)の売り場で、色やデザインの異なる商品を店頭に約450種、イトーヨーカドーアリオ札幌店は約360種をそろえています。

多彩な商品が並ぶランドセル売り場=5月1日、札幌市西区のイオン札幌発寒店

多彩な商品が並ぶランドセル売り場=5月1日、札幌市西区のイオン札幌発寒店

老舗メーカーの土屋鞄製造所(東京)によると、今年3月中に同社が販売した商品のうち、人気のある色の1位は「青・ネイビー」で、2位は黒、3位は「茶・キャメル」でした。同社は「購入者の8割が赤と黒以外の色を選び、好みが多様化しています」と説明します。

高額化の傾向

一方、価格は右肩上がりです。ランドセル工業会によると、平均購入価格は13年までは3万円台でしたが、18年に5万円台に。背景には、原材料費の高騰や、少子化で1人の子どもにかけるお金が増え、高額商品が好まれる傾向などがあるといいます。

今年4月に入学した小学1年生の保護者らを対象に同会が2月に実施したアンケートでは、6万5千円以上の商品を購入した人が3割で最も多かったです。道内で近年購入が多い価格帯は、イオン北海道によると「4万~6万円台」、イトーヨーカ堂は「6万~7万円台が主流」といいます。

購入時期が早まり、商品が多様化する中、大手メーカーのセイバン(兵庫県たつの市)に、「ラン活」の大まかなスケジュール=図=を聞きました。事前に各社のホームページなどで情報を集めておき、新商品がそろう4月以降に、店頭で見比べることを勧めています。

ラン活のスケジュール

店で背負って比較 体の負担軽いものを

ポイントは、①子どもが好きなもの ②体に負担の少ないもの―を選ぶことです。①は、子どもは見た目の印象で選びがちだが、親は「長く使ってほしい」「目立ちすぎないものを」などと考えるため、意見が食い違うこともあります。その際は、子どもが商品を背負った様子をスマートフォンなどで撮影し、持ち帰って親子でじっくり話し合うと良いといいます。

②については、ランドセル本体の重さ(天然皮革で1.4kg前後、人工皮革で1.2kg前後)に加え、小学1年生では約2kgの教材を背負うため、体に負担の少ないものを選びたいものです。

本体が体に密着する方が、負荷が分散され軽く感じます。そのため、軽さだけではなく、体への密着度が高い肩ベルトや背中のクッションなど、軽く感じる機能も重要です。実際に背負って違和感がないかを確認した方が良いでしょう。

ランドセル工業会によると、日本製の商品は、肩ベルトの長さを調整することで身長110~180cm前後まで対応可能といいます。林さんは「新入学時にそろえるのは、一生に一度。楽しんで選んで」と呼びかけています。

取材・文/田口谷優子(北海道新聞記者)

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