連載【0カ月からの育児塾】

離乳食を始めるタイミングは? 子どもの成長に合わせた進め方の目安、注意点を解説

写真はイメージ(miyuki ogura / PIXTA)

早ければ生後5カ月ごろから始める離乳食。祖父母世代の助言と育児書の内容が異なったり、インターネット上でさまざまな情報を目にしたりして、戸惑う保護者もいます。医療の進歩や子育て環境の変化などで、離乳食のあり方、進め方は更新されています。北海道助産師会会長の高室典子さん(札幌)は「正しい知識を持ち、子どもの成長に合わせることが大切」と呼びかけます。

サイン見極め1日1食から

離乳食を始める時期は、生後5~6カ月が目安とされますが、高室さんは「赤ちゃんが出すサインや、発達状況を見ながら進めて」と強調します。 赤ちゃんのサインは《1》食事の際、大人が食べる様子をじっと見る《2》大人が食べる口元を見てまねをする《3》よだれの量が増える《4》口にスプーンを入れても、舌で押し出すことが少なくなる《5》首の据わりがしっかりする―などです。こうしたサインがあれば、1日1食から始めます。未熟児で生まれた場合、月齢ではなく、体重が6~7キロになってから検討しましょう。 離乳食の回数を増やす場合も、実際に食べている状況に合わせて進めます。食事の時間については、アレルギー症状などが出たら対応できるよう、病院の診察時間内に済ませるとよいでしょう。

離乳食の進め方の目安

機嫌の良い時に

高室さんの助産院を訪れる保護者からは「離乳食を食べてくれない」という相談が多いそうです。高室さんは「まず子どもの好きなもの、食べられるものを見つけましょう」と助言します。

子どもが食べない理由は、《1》味が好みではない《2》食べたい気分ではないことが考えられます。《1》については昆布などのだし汁で薄味を付けたり、少し塩を入れるなど、工夫をしてみてください。好物がある場合は、それを食べさせてもよいです。

《2》は、毎日同じ時間に食べさせようと無理せず、子どもの機嫌の良い時を見計らってあげてみてください。食べる環境も大事です。子どもだけではなく、大人も食卓について、一緒に食事を楽しみましょう。離乳食作りも頑張りすぎず、《1》みそ汁の上澄みを使う《2》ご飯をすりつぶし、お湯で割るなど手軽な作り方も試してみてください。

乳幼児期 食材、調理法に配慮
誤嚥、窒息の可能性「目を離さないで」

今春、1歳未満の子どもが保育施設で出されたリンゴを食べて窒息状態になる事故が道外で相次いだことを受け、乳幼児期に配慮が必要な食材や注意点について、札幌市中央保健センターに聞きました。管理栄養士の佐々木和子さんは「子どもが食べている時は目を離さないようにしましょう」と促しています。

乳幼児期に配慮が必要な食材は、国が保育施設などを対象に作成したガイドラインが参考になります=図=。食べ物などが誤って気管に入る「誤嚥(ごえん)」や、窒息の可能性は、どんな食べ物でもあるとした上で、特に①弾力がある ②滑らか ③球形 ④粘着性が高い ⑤固い ⑥唾液を吸う ⑦口の中でばらばらになりやすいもの―に注意を喚起しています。

誤嚥や窒素につながりやすい食べ物

給食では使用を避けるとされた食材もあります。例えば、球形のチーズは、吸い込んで気道をふさぐ危険性があるため、そのまま食べさせず、加熱してやわらかくすれば使える―とします。食材の選び方や調理方法にも気を付けましょう。

子どもに食べさせる時は急がせず、口に合う量を子どものタイミングで与えることが重要です。食べ物が口の中に残っていないか確認し、水分などを与える場合も、食べ物を飲み込んだ後にしましょう。

ガイドラインでは、リンゴは離乳食完了期までは加熱して提供するとされています。佐々木さんは、「固まりがないようにすりおろして加熱すると、より滑らかくなり安心」と話しています。

取材・文/田口谷優子(北海道新聞記者)

Area

北海道外

その他