自宅で手軽にヘアカット プロに聞く失敗しないコツ

写真はイメージ(Satoshi KOHNO / PIXTA)

新入学・入園などで気持ちを新たにする春、小さな子どもの髪の身だしなみが気になり始めた家庭もあるでしょう。「新型コロナの流行で美容室や理容室に行くきっかけがなかった」「子どものうちは親が髪を切ってあげたい」という家庭向けに、自宅でできる手軽なカットと、失敗しないポイントを美容師に聞きました。


「かっこよくできた」。札幌市西区の保育園に通う江畠暁音(あきと)ちゃん(6)は小学校入学を間近に控え、3月中旬、「美容室デビュー」をしました。ショートカットに満足そうです。これまで、母の祐美(まさみ)さん(47)が自宅で1カ月半に1度、切っていました。子どもの集中力が持たないため、前髪、サイドなどに分け、数日がかりで切ったことも。動画や絵本を見せ、集中している間にやるといった工夫もしたそうです。それでも、「どこまで切ったらいいかわからず、毎回切りすぎていた」と振り返ります。

子ども向けのカットについてYouTubeで紹介している美容室「ヘアーサロン カシータ」(札幌市中央区)の経営者浜崎温(あつし)さん(38)に聞きました。

浜崎温さん

浜崎温さん

事前に散髪動画見せて

ポイントはまず、子どもを安心させる準備から。浜崎さんは「顔の近くでハサミを使われることを怖がる子がいる」と話します。カット前、散髪の動画を見せて「こういう風に切るよ」と説明すると、理解して静かになる子どももいるといいます。

切る場所は、明るくて手元や髪の様子を確認しやすい居間、窓際がおすすめです。掃除が簡単なフローリングだとなお良いです。床に毛が散らばるのを減らすには、ケープを着せ、さらに新聞紙やレジャーシートを床に敷いておきます。

散髪用はさみやケープなどは、100円均一ショップでもそろえられ、ボリューム調整に便利なすきばさみを販売する店もあります。加えてバリカンがあれば、襟足をそろえたり、刈り上げたりもできます。浜崎さんは「大人と共用もできるし、3千円程度のものでも十分に使える」と勧めます。

男児のカットをする浜崎さん

男児のカットをする浜崎さん

霧吹きでぬらしてから

子どもの髪は大人に比べて、細く柔らかいです。切る際のポイントとして、浜崎さんは「髪を留めたクリップやゴムを目印にして、分割して切ると失敗が少ないです」と話します。また、①事前に霧吹きで髪をぬらすこと②髪をすいて切る時、髪を引っ張りすぎないことも心掛けましょう。①は、ぬらした方が髪がまとまって切りやすく、毛先が傷みにくいためです。②は、切りすぎてしまいがちなためで、髪を自然に下ろす方が良いといいます。

特に短髪の場合、サイドや後ろをバランス良く切りそろえるのは容易ではありません。プロのお勧めはバリカンで、サイドや後ろを部分的に刈り上げた髪形として、子どもにも人気があるツーブロックにも挑戦できます。家庭ではやや難易度が高いですが、美容室などで一度ツーブロックに切ってもらい、これを基にすれば、自宅で伸びてきた部分だけを切ったり刈ったりと比較的楽にお手入れできます。

浜崎さんは「新生活に向けて髪を整え、ハッピーな気持ちで春を迎えて」と呼び掛けています。

必要な道具と切り方

理美容室 最初は親子一緒で

自宅での散髪を卒業し、子どもが理容室、美容室に行き始めるきっかけとして、春は絶好機。子どもの来店を歓迎してくれる店を探すことも大事です。

札幌市豊平区で理容室「カプリヘアーデザイン」を営む森一弘店長(57)は「入園を機に、3歳ごろから来る子どもが多い」と話します。店内には、おもちゃなどで遊べる「キッズコーナー」を用意。0歳でデビューする子もいるといいます。

もちろん、店によって受け入れ態勢は異なるため、森さんは「来店前に相談を」と呼び掛けます。

妊産婦や、子ども連れ専門の美容室もあります。同市白石区の「フラッフィールーム」には保育士が常駐し、もし子どもを待たせることになっても安心です。

母親のカラーリングの間、子どもは保育士と遊びながら待つ=札幌市白石区の「フラッフィールーム」

母親のカラーリングの間、子どもは保育士と遊びながら待つ=札幌市白石区の「フラッフィールーム」

とはいえ、いざ自分の番となると泣く子どもはいます。同市豊平区の会社員伊藤千春さん(39)は2カ月に1度、長男(2)のカットで同店を訪れます。「バリカンの音を怖がりがち。早く慣れてほしいけれど…」。同店の美容師、上(かみ)弘美さんは「泣く子どもは8割ほどいる」とし、対策として親子一緒の散髪を勧めます。「ママなどの様子を間近で見れば、子どもも勝手が分かって安心です」 。

ヘアカット専門店はどうでしょうか。予約なしで10分程度で散髪できるとして全国展開する「サンキューカット」(道内は札幌市内のみ10店舗)のチェーン店では、子どもの利用は「カットの間、1人で座っていられること」が条件で、目安は3歳からといいます。

取材・文/田口谷優子(北海道新聞記者)

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