赤ちゃんの爪切りや耳かきは慎重に 専門家に聞く正しいケア方法

写真はイメージ(Ushico / PIXTA)

赤ちゃんの爪切りや耳かきをするとき、傷つけそうで怖いというママやパパは少なくありません。正しいケアをしないと、伸びた爪で自分の顔をひっかいたり、耳あかを必要以上にためてしまうケースもあります。赤ちゃんと保護者の双方にとって負担の少ないケアの方法について、専門家に聞きました。

爪切り 日頃から手を触れ安心感を

「子どもが寝ている間に爪を切っていたが、予想外の動きをする時があるので、けがをさせないかと心配でした」。札幌市白石区の看護師寺島慶子さん(33)は長女(2)が赤ちゃんだったころを振り返ります。きちんと切ったつもりでも、すぐに爪が伸び、顔をひっかいてしまい「(顔の傷を)周りからどう見られるかと不安でした」といいます。

当時は新型コロナウイルス禍で、子育てサロンは中止され、育児に関する情報はインターネットで集めていました。「爪や耳のケアの『正解』がわかりませんでした」と話します。

爪のケアについて、札幌市南区で助産院を営む北海道助産師会理事の吉(よし)裕子さん(55)は「日頃から赤ちゃんの手をマッサージすることで、赤ちゃんは触られることに慣れます。赤ちゃんも保護者も落ち着いてケアできるよう心掛けて」と促します。爪を切る目安は、手のひら側から爪が見えるようになった時で、中には生まれた直後から爪が伸びている子どももいるといいます。

吉裕子さん

吉裕子さん

赤ちゃんが嫌がるのを避けて、寝ている時に切ろうとする保護者もいますが、赤ちゃんを抱っこし、「自分の爪を切るような体勢がやりやすい」とアドバイスします。授乳後など、赤ちゃんが落ち着いている時も良いでしょう。爪切りやはさみを使うことが心配なら、爪やすりがお勧めです。

一方、避けたほうがよいのは、風呂上がりに切ることです。大人は爪が固いので、風呂上がりで爪が柔らかくなった方が切りやすいですが、赤ちゃんの爪は薄くて柔らかいため、かえって切りにくいといいます。

爪のケア

吉さんへの取材を基に作成

耳かき タオルで穴の周りを拭く程度

耳のケアについて、札幌市耳鼻咽喉科医会会長の佐野宏行さん(63)は「毎日、風呂上がりにぬれたタオルなどで穴の周りや耳の裏側を拭く程度で良い」と助言します。

佐野宏行さん

佐野宏行さん

耳あかは、奥の方でなく、耳の穴の手前から3分の1程度までしか作られません。通常は自然に外に押し出されるため、「毎日の耳かきは必要ないです」。また、耳あかには殺菌成分が含まれているので無理に取らなくてよいといいます。耳の中の産毛に耳あかがからまり、穴から見える場合のみ、赤ちゃん用の綿棒を水やベビーオイルでぬらし、軽く回して取ることを勧めます。

綿棒で耳あかを奥に押し込んでしまった場合は、無理に取ろうとせず、耳鼻咽喉科を受診するよう指摘。放置すると、そこを起点に耳あかがたまってしまうためです。

耳かきのケア方法

佐野さんへの取材を基に作成

また、耳の穴の周囲が赤く腫れたり、耳だれが出たり、不機嫌そうに耳の穴をしきりに触ったりする場合は、中耳炎や外耳炎の可能性があるため、受診を勧めます。「耳あかが原因で中耳炎になることはないです」と佐野さん。鼻水や鼻づまりが続いた方が、中耳炎になる可能性が高いといいます。

耳かきのポイントとしては、耳の穴の手前から5mmまでを掃除することです。鼓膜までの外耳道は、大人が3~3.5cm程度なのに比べて、赤ちゃんは1.5cm程度と短いため注意が必要です。佐野さんは「心配なことがあれば、耳鼻咽喉科で相談を」と呼び掛けています。

取材・文/田口谷優子(北海道新聞記者)

この記事に関連するタグ

2024
5/3
FRI

Area

北海道外

その他