連載コラム「瀬川院長のすくすくカルテ」第46回

コロナとインフル同時感染が心配 確率高くない 予防継続を

Q.質問

大人が新型コロナウイルスと季節性インフルエンザウイルスに同時に感染すると重症化するという話を聞いたのですが、子どもの場合はどうなのでしょうか。

A.回答

現在、コロナ流行が続く中、3年ぶりにインフルエンザが流行しており、同時感染を心配するのはもっともです。

昨年の英国の報告では、コロナとインフルエンザの同時感染によって、人工呼吸器が必要となるリスクはコロナ単独感染と比べて4.1倍、死亡のリスクが2.4倍になるとありました。しかし、これはコロナで入院した高齢者を対象にした調査なので、子どもにそのまま当てはめることはできません。

子どもの同時感染については昨年12月、米疾病対策センター(CDC)から報告が出ています。昨年のオミクロン株の流行期に、米国でインフルエンザで入院した18歳未満の子どもを対象にした調査です。

これによると、コロナと同時感染の割合は5.6%と多くはありません。同時感染の場合、インフルエンザ単独の感染に比べると、人工呼吸器による管理が必要となるリスクは3.2倍、鼻から肺へ空気を送り、気道をふさぐのを防ぐ「経鼻的持続陽圧呼吸器」を必要とするリスクは2.7倍と高くなっています。しかし、死亡リスクは同時感染によって高くはならないようです。

また、インフルエンザワクチンは同時感染の際に、重症化を予防する効果がある可能性が示されています。

CDCによる調査の対象の多くは基礎疾患があるハイリスクの子どもや青少年ですので、健康な子どもの同時感染に対して、この数値をそのまま適用することはできません。同時感染の確率はそれほど高くはないとされ、いたずらに恐れる必要はないようです。

実際、私のクリニックで今年1月、インフルエンザA型に感染したと診断した190例中、コロナとの同時感染はわずか1例のみでした。これまで行ってきた感染予防対策を、インフルエンザの流行期も続けることが大切です。

(瀬川雅史=のえる小児科院長)

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