連載コラム「あそぶ→そだつ」第20回

【あそぶ→そだつ】積み木の遊び方はさまざま 数学的な気づきも

積み木の遊び方はさまざま|あそぶ→そだつ

1カ月前に訪れた札幌市内の認定こども園で、3歳の男の子が積み木で遊んでいました。車を走らせるための道路とトンネルを作っています。積み木を入れる箱を利用して坂道を作り、さらにその箱を利用して道をつなげ始めました。道路が水平になるように一生懸命考えています。

5センチの立方体を使うと、高さが合いますが、その倍の10センチの高さの円柱を使うと、斜めに傾き、うまくいきません。試行錯誤を繰り返すうちに、立方体を使えば水平につなげていけることに気づいたようです。

積み木の遊び方は、さまざまです。積み木を電話や乗り物に見立てたり、同じ形の積み木を一列に並べたり、とにかく高く積み上げたり、平面で絵を描くように形を作ったり、また、お家や動物園を作り、そこで人形や動物を動かして物語を考えたりと、遊び方はさまざまです。

子どもの遊びを見ると、何を考え何に関心があり、どのような気づきがあるのか見えてきます。例えば冒頭の男の子は、水平な道を作るための方法や、トンネルを作るときには左右対称に積むと、バランスの良いものができるということへの気づきがありました。

積み木遊びには、長さや高さ、形や数などの数学的な気づきが期待されます。それらに気がつくために大切なことは、積み木の基尺(きじゃく)(基本となる寸法)がそろっていることです。基尺がバラバラだと、立体的に高く積むことが難しい上に、数の法則性に気がつく機会にも恵まれません。

子どもにとって遊びは学びであり、おもちゃは大切な道具です。ぜひ積み木を選ぶ際のポイントにしてください。大切なのは子どもに教えることではなく、遊びを通して自分で気づくこと。子どもの気づきに目を向け、一緒に積み木遊びを楽しんでみてください。

教えてくれたひと

増山由香里さん

札幌国際大准教授(発達心理学)

1972年生まれ、岩見沢市出身。岩見沢東高から藤女子短大(当時)へ進み、幼稚園教諭、保育士資格を取得。保育現場で勤務後、北大に編入し、北大大学院に進んで修士課程修了。旭川大学短期大学部准教授などを経て2017年から札幌国際大人文学部准教授。保育現場での出合いから、おもちゃや絵本への関心を深めた。編著に「具材―ごっこ遊びを支える道具」(17年、庭プレス)がある。

2024
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