連載コラム「瀬川院⻑のすくすくカルテ」第43回

コロナワクチン4歳以下の接種は必要? 発症予防効果7割以上

Q.質問

生後6カ月から4歳までの子どもに、新型コロナウイルスのワクチンが接種できるようになりました。3歳と1歳の息子たちは、まだコロナにかかっていませんが、やはりワクチンを接種した方がよいのでしょうか。

A.回答

今秋、生後6カ月~4歳の乳幼児を対象としたコロナワクチンが承認されました。日本小児科学会は、発症予防などのメリットが、副反応などのデメリットを上回ると判断。生後6カ月~4歳のすべての子どもに、コロナワクチンの接種を推奨する見解を11月に公表しました。

理由はオミクロン株流行後、子どもの感染者数が急増し、以前は少数であった重症例と死亡例が増加したためです。子どもの感染者の95%以上は軽症ですが、けいれんなどの中等症や心筋炎なども報告されています。

オミクロン株流行前の2021年12月まで、国内の20歳未満のコロナによる死者数は3人でした。国立感染症研究所によると、流行後の22年1~8月に急性期以降も含めて調査したところ、死者は41人に増加しました。コロナ感染後に死亡した20歳未満を対象にした調査によると、調査ができたうち、病気による死亡とされた29人のうち90%の26人が12歳未満で、うち14人が5歳未満です。5割に基礎疾患がなく、多くはワクチン未接種でした。

ワクチンは3回接種で発症や重症化を防ぐ効果が期待できるとされています。ファイザー社のデータによれば、発症予防効果は生後6カ月~1歳で76%、2~4歳で72%です。

米国のデータによると、生後6カ月~4歳の同社製ワクチンの2回目接種までの副反応は、注射部位がはれるなどの局所反応と、発熱・倦怠(けんたい)感などの全身反応がありました。米国の別のデータによると、同社製ワクチンに関連した副反応は496例あり、98%は軽症・中等症とされています。重篤な副反応は10例あり、うち4例がけいれんでした。心筋炎はありませんでした。

子どものコロナワクチン接種については、メリット・デメリットをしっかりと理解することが大切です。接種に関しては、かかりつけ医によく相談されることをお勧めします。

(瀬川雅史=のえる小児科院長)

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