親子キャンプで心も体も成長 魚釣りやたき火も

仲洞爺キャンプ場でたき火を楽しむ宮口さん一家。自然の中で家族と過ごすキャンプは子どもたちに多くのことを教えてくれ、かけがえのない体験となる

仲洞爺キャンプ場でたき火を楽しむ宮口さん一家。自然の中で家族と過ごすキャンプは子どもたちに多くのことを教えてくれ、かけがえのない体験となる

大自然の中で過ごすキャンプ。密を避けられる新型コロナ下のレジャーとしてブームですが、子どもと一緒に野外で過ごし、さまざまな体験ができる機会としても見逃せません。特に就学前の幼児にとっては心身の成長に多くのいい影響を与えるとされています。子連れキャンプに出かけてみませんか。

札幌の宮口さんファミリー
「成長を実感しています」

洞爺湖に面した胆振管内壮瞥町の仲洞爺キャンプ場。木々がわずかに色づき始め、秋らしく冷え込んだ9月22日の朝、湖岸にキャンピングカー仕様の乗用車を止めていた、札幌市白石区の宮口崇志さん(43)と奈緒さん(39)、琳瑚(りこ)ちゃん(4)と美玲(みれい)ちゃん(2)の親子が、にぎやかにたき火台を囲んでいました。

「下の子が2歳になり、体力も付いてきたので今春から何度もキャンプに来ています」と奈緒さん。自動車関係の仕事をする崇志さんは「いつもは子どもたちが大好きなテントで泊まりますが、今朝は冷え込みそうだったので無理せず、車に泊まることにしました」といいます。

たき火台には琳瑚ちゃんと美玲ちゃん、崇志さんが場内で集めた枯れ枝が積まれ、煙を上げていました。「最近は『これはよく燃えるよね』と乾いた枝を選んできたり、魚にも触れるようになったり、成長を実感しています」と崇志さん。

奈緒さんは「寒さやけがなどに気を付けながら、自然の中のキャンプで子どもにいろいろな経験をさせたい」と話してくれました。

札幌のアウトドア用品店・南さん
子どもから目離さず一緒に作業を

このタイプのたき火台を使っていますという南さん

このタイプのたき火台を使っていますという南さん

小さな子どもを連れたキャンプはどのような点に気を配ればいいのでしょうか。自身も5歳と3歳の子どもと一緒に家族でキャンプに出かけるという、札幌のアウトドア用品店「秀岳荘」白石店の南莉子(まりこ)さん(31)にポイントを聞きました。

なんといっても子どもから目を離さないことです。うちの2人の女の子はたき火が大好きで、その間は親が付きっきり。まだおのやナイフなど刃物には触らせていません。けがをしないようだめなものはだめと言い聞かせています。

秋はしのぎやすく虫も少ないのでキャンプに適しています。ただ、朝晩などの気温差があり、状況によってすぐ着替えられるように服はフリースやダウンなど、靴もサンダルやスニーカーに長靴まで、荷物が多くなっても一通り準備します。

キャンプする場所も遊具があるなど子どもが楽しめて、広くゆったりしている所を選びます。子どもが飽きないで遊べるようボールやキックボード、水遊びの道具なども持って行きますね。

キャンプでは子どもにも椅子や寝袋を運ばせたり、敷物を敷かせたり、洗い物を一緒にしたり、できることを協力してもらうのが大切だと思います。

脳や運動能力の発達に効果

子連れキャンプについて国学院道短大(滝川)の幼児・児童教育学科教授の田中一徳さんは「大自然に恵まれた北海道で親がキャンプに連れ出せば、幼稚園や保育園の野外教育と同等以上の効果があります」と指摘します。

特に脳や運動能力が発達する時期の未就学児は、アウトドア体験が大きな効果をもたらすと考えられます。「いろいろなことに興味や疑問を抱く2歳児は、絶えず状況が変化する野外で昆虫や植物などからさまざまな刺激を受け、知的好奇心が伸びます。3歳ごろは運動に関わる脳の動きが発達しますが、アウトドアは発達に必要な活動そのもの」と強調しています。

国学院道短大・田中教授
「非認知能力を培うのに最適」

田中一徳教授

田中一徳教授

幼児教育で重要視されるようになった、学力テストや知能指数(IQ)では測れない「非認知能力」は、他者とのコミュニケーション能力や最後までやり抜く力などを指しますが、「非認知能力を培うのにキャンプやアウトドアは最適」といいます。

「幼少期の終わり頃には、コミュニケーションや相手の気持ちを理解して適切に行動する脳の前頭前野が発達します。自然の中のキャンプの非日常体験は、その成長を大きく後押しするはずです」と話します。

さらに「キャンプで魚釣りをして自分でさばいて料理したり、ナイフで木を削ってたき火をしたりといった体験は、命の大切さを知り、生きる力を育てます」と説明しています。

取材・⽂/和田年正(北海道新聞編集委員)

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