連載コラム「瀬川院⻑のすくすくカルテ」第41回

チョコ菓子食べて発疹 クルミアレルギーが急増

Q.質問

夕食後、駄菓子屋で初めて買ったチョコ菓子を3歳の長男が一口かじったところ、数分後から顔が赤く腫れてせき込みだし、体に赤い発疹が出始めました。すぐに夜間救急に行くと、アナフィラキシーの診断を受け、チョコ菓子の成分が原因だろうと言われました。何が原因だったのか、また今後の対処法について教えてください。

A.回答

このお子さんは、チョコ菓子が入っていた袋を持って朝一番に受診されました。菓子袋の原材料表示から見当をつけて血液検査を行い、1週間後その結果が判明したのですが、原因食物はクルミでした。

最近、わが国ではクルミアレルギーの急増が問題になっています。これまで日本人の食物アレルギーの3大原因は、鶏卵、牛乳、小麦だったのですが、2020年に行われた全国調査で、木の実類が小麦を抜いて3位になりました。

木の実にもいろいろありますが、クルミが57%で1番、次にカシューナッツ、マカダミアナッツ、アーモンド、ピスタチオという順になっています。20年のクルミアレルギーの報告件数は17年調査の約2倍、11年調査の10倍以上になっています。

クルミアレルギー急増の理由はよくわかっていませんが、年間消費量がこの10年でおよそ2倍に増えていることが要因の一つとされています。

食品にはアレルギーに関する情報として、特定原材料7品目、特定原材料に準ずる21品目の表示が義務付けされていますので、それをよく確認することが大切です。なお、クルミアレルギーの場合、同じクルミ科に属するペカンナッツに対してもアレルギーがあるので注意が必要です。

アレルギー反応で一番注意すべきなのはアナフィラキシーです。その症状とは、じんましん、せき・息がゼーゼーしている・呼吸困難、嘔吐(おうと)・腹痛、顔色が真っ青でぐったりして、意識レベルが低下する―などです。そういう症状が出た場合にはすぐに医療機関を受診してください。

(瀬川雅史=のえる小児科院長)

2024
5/3
FRI

Area

北海道外

その他