コロナが変えたくらしの姿

「産む」の現場から 番外編|お産事情アンケート 減る交流の場、妊産婦に孤立感

■「コロナベビー」に意味

2020年に生まれた赤ちゃんを「コロナベビー」というそうです。初めて周りから言われた時は悲しみと怒りで震えました。「好きでこの時代に生んだわけじゃない、できることなら普通の時代に生みたかった」と。でも生まない選択肢はありませんでした。「やっと、おなかにきてくれた子。どんな時代だろうが必ず守る」と。この時代を選んできてくれたこと、絶対に意味があると思っています。思ったような妊娠・出産ではなかったけれど、いつか「あの頃は大変だったね」と笑って話せる日がくることを祈っています。(渡島管内七飯町・女性31歳)

■身体を優先し会社退職

1人目を妊娠するのに時間を要したため、2人目をすぐにでも授かりたかったのですが、妊婦は感染すると重症化しやすいとの情報もあり、何度も夫婦で話し合いました。2人目を妊娠した時、11年勤めた会社を退職しました。私の身体を優先することにしました。外出もほぼせず、できる範囲での感染対策をし、今まで感染せずに暮らしてきました。コロナがなければ子どもたちにいろいろな経験をさせてあげられたな…と思うことは多々ありますが、今は命が大切で、時がたって状況が変わったら、いろいろな経験をさせてあげたい。(旭川市・女性31歳)

感​染​中​に​出​産​と​な​っ​た​妊​婦​は​現​在​、​原​則​、​帝​王​切​開​と​な​る​

​感​染​中​に​出​産​と​な​っ​た​妊​婦​は​現​在​、​原​則​、​帝​王​切​開​と​な​る​(北大病院提供)

■面会ない分ゆっくりと

3人目なので、立ち会い出産ができないことには特に何も考えてませんでしたが、初産の人は、かなり不安だろうなと感じました。コロナ下だからこそ、面会がなく、母子ともにゆっくり過ごせて、私は良かったと思いました。(札幌市・女性29歳)

■安全な出産には制限も

何よりも安全に出産できることが大切なので、医療関係者を守るため(=他の妊婦さんも安全に出産することにつながる)に、出産の立ち会いや面会の制限は、ある程度は仕方ないと思いました。(札幌市・女性38歳)

■病院のスタッフに感謝

コロナ以前より制約は多いですが、感染症は時代の流れで必ず繰り返すので、仕方がないと思います。安全な出産のために産婦人科のスタッフは大変な努力をしてくれており、感謝しかないです。(札幌市・女性29歳)

■働く妊婦へ支援もっと

感染者が増える中の通勤は怖く、初めての妊娠で、ただでさえ不安なのに、コロナ下で不安が倍増しました。マタニティーマークを見た人に「こんな時期に妊娠して」と言われたことも傷つきました。オンラインの産前学級など市町村のバックアップは充実していると感じましたが、時間や曜日が合わず、働く妊婦は受講が難しかった。コロナ下以外でもサポートの必要性を感じました。(札幌市・女性32歳)

新​生​児​は2​回​の​PCR​検​査​を​受​け​て​陰​性​が​確​認​さ​れ​る​ま​で​隔​離​室​で​ケ​ア​を​受​け​る

新​生​児​は2​回​の​PCR​検​査​を​受​け​て​陰​性​が​確​認​さ​れ​る​ま​で​隔​離​室​で​ケ​ア​を​受​け​る​​(北大病院提供)

■夫婦の絆の深まり実感

出産の立ち会いや産前学級などが出来なかったのは残念ですが、それはそれで思い出になったと思うし、子どもが生まれてきてくれた事に感動が薄れることはありません。逆に、こんな中、よく赤ちゃんは頑張って出てきてくれたなと思います。夫は分からないなりに知ろうとしてくれたので、夫婦の絆は深まったと思います。(旭川市・女性36歳)

■初対面の夫の顔忘れない

夫が立ち会い出産や面会に来ることができなかったのは残念でしたが、退院時に迎えに来た時、わが子に初めて直接会った、あの瞬間の顔を、私は一生忘れることはないと思いました。コロナ下で会えなかった故に見られた瞬間でした。(札幌市・女性37歳)

■話せる人いなくて孤独

1人目がコロナ前、2人目がコロナ下の出産でしたが、コロナ下は圧倒的に孤独でした。他の妊婦さんと知り合う機会もなく、入院中は家族との面会も禁止。上の子の時は家族や友達がお見舞いに来てくれて楽しい入院生活でしたが、今回は話せる人も誰もいなくて、寂しかったです。感染対策が大切だということは理解していますが、やはり妊婦の心の負担は大きいので、孤独にしないケアが必要だと思います。(札幌市・女性35歳)

​感​染​し​た​妊​婦​か​ら​生​ま​れ​た​赤​ち​ゃ​ん​の​隔​離​ベ​ッ​ド​が​足​り​ず​、​北​大​病​院​か​ら​他​院​に​移​送​さ​れ​る​新​生​児​

​感​染​し​た​妊​婦​か​ら​生​ま​れ​た​赤​ち​ゃ​ん​の​隔​離​ベ​ッ​ド​が​足​り​ず​、​北​大​病​院​か​ら​他​院​に​移​送​さ​れ​る​新​生​児​​(北大病院提供)

■収束見えず妊活を再開

医療従事者で、コロナ治療に携わっているので、他の人よりも感染リスクが高いと考え、落ち着くまで妊活を中断しようと考えました。しかし、一向に収束の兆しが見えないので、このままでは妊娠適齢期を過ぎてしまうと考え、妊活を再開しました。昨秋に無事に妊娠しましたが、コロナ診療に疲れてしまった同僚が多く、仕事を辞めたり、別の業種に移ったりと、人手不足が続き、妊婦健診や体調不良時にお休みをもらうことが非常に申し訳なかったです。(札幌市・女性29歳)

■夫の在宅勤務で安心感

コロナ下の妊娠はメリットの方が多かったです。職場で飲み会や会食がなく、飲酒を断る必要がなかった。夫も在宅勤務ができたので自宅で1人でいるより安心でした。(札幌市・女性34歳)

■人に会えずつらかった

コロナ陽性となると帝王切開になってしまうと言われていたため、妊娠中は友人などにほとんど会えずつらかった。(十勝管内音更町・女性37歳)

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