• 産後うつ 貧血一因かも 鉄不足で疲れやすく リスク高まる調査も

    写真はイメージ=PIXTA
    出産してから、疲れやすく、気分が落ち込む状態が続いている-。そんな「産後うつ」の症状が現れる要因のひとつに「貧血」があるとの指摘があります。出産による出血に赤ちゃんへの授乳が重なり、産後の女性は鉄不足になりやすいのです。貧血の女性はそうでない女性と比べ、産後うつになるリスクが約6割増えるとの調査もあります。

    「産後うつ」の症状は気分の落ち込みや、疲れやすさ、不眠、食欲の低下などが挙げられます。主に産後1カ月程度で発症し、要因としては、育児の不安やストレス、周囲のサポートの欠如などが指摘されています。

    貧血は、血液中の赤血球にあるヘモグロビンの濃度が低くなった状態を指します。鉄が不足して起こる「鉄欠乏性貧血」は気力の低下や疲れやすさを招き、うつ病に似た症状が現れることがわかっています。

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    国立成育医療研究センター(東京)のチームは、鉄欠乏性貧血と産後うつの関係について、2019年に調査報告書をまとめました。11~13年に同センターで出産した女性977人の、血液検査と産後1カ月のうつ症状の有無を調べたデータを解析しました。

    このうち、産後1カ月で貧血だったのは432人(44.2%)に上りました。産後にうつを発症したのは196人(20.1%)でした。

    産後に貧血だった女性は、貧血ではなかった女性と比べて、産後うつを発症するリスクが1.63倍高かったそうです。産後1カ月のヘモグロビンの濃度が低下するにしたがって、うつ症状が出るリスクが段階的に上昇しました=グラフ=。

    産後のうつの発症リスク

    調査チームは報告書で、貧血の治療がうつの抑制につながるかは、他の研究結果などを待つ必要があるとした上で、「鉄の補充という、ごく簡便な介入で、産後うつを少しでも減らす取り組みに貢献できる可能性があることが示唆された」と説明しています。

    栄養指導行う安藤さん 赤身肉は鉄分豊富

    産後うつと貧血に悩んだ自身の経験をもとに、生活習慣の改善や栄養指導に取り組んでいるあんどう口腔(こうくう)クリニック(札幌市中央区)院長、安藤麻希子さん(42)に話を聞きました。

    貧血によって生じる出産後の症状の例
    安藤麻希子さん

    産後の女性の多くは、出産での出血や悪露(おろ)(血液が混じったおりもの)、赤ちゃんへの授乳により鉄不足になります。赤ちゃんの世話に追われて自覚症状が現れにくいこともあり、鉄の重要性を広く知ってほしいです。

    毎月、月経のある女性はもともと鉄不足になりがちです。産後、特に貧血に注意すべき人は《1》妊娠前から月経の出血量が多い人《2》普段、肉を食べない人《3》胃腸の具合が悪い人、です。

    産後の不調で悩む女性には、少なくとも週に1度は豚レバーや牛肉、ラム肉など赤身の肉を食べることをおすすめします。動物性タンパク質には、吸収されやすい鉄が豊富に含まれています。

    食事で改善しなければ、内科での血液検査を検討してみてください。その際、ヘモグロビン濃度に加え、体内の鉄の供給源であるフェリチン(貯蔵鉄)の値も測ることが大切です。一般的にヘモグロビン値に異常がなくても、実は貯蔵鉄が不足し、「隠れ貧血」になっていることがあるからです。この場合、鉄剤の服用が選択肢になるでしょう。

    貧血によって生じる出産後の症状の例

    取材・文/有田麻子(北海道新聞記者)

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