• #22|斜めの壁 採光や暖房にいい働き

    古い馬小屋の2階がオフィスです。一番高い天井から床まで2メートルなので、大人が立てるゾーンは床面積の3分の2ほど。形状的に妻側にしか窓を付けられませんが、斜めの天井が奥まで光を反射して十分明るいです

    「ステキな家をつくろう」
    札幌在住の建築家、三木万裕子さんが、古民家をリノベーションして〝わが家〟をつくったときに学んだアイデアやノウハウをつづります。毎月第2土曜日に北海道新聞朝刊「くらし面」で連載中。


    北海道の古い住宅や納屋では、雪を屋根上にためない「落雪屋根」が多く、屋根の形が三角形や急勾配となっているものが多いです。そういった住宅や納屋で、天井裏を張らず、屋根の形状が内部から見える「現(あらわ)し」にすると、斜めの天井とも壁ともつかない面が室内に現れることになります。

    私がオフィスとして使っている築100年の馬小屋はギャンブレル屋根で、二段勾配の駒のような形が室内にそのまま現れています。2階の部屋はこの斜めの壁によって、囲われている感覚が得られます。デスクワークをするにはとても落ち着く空間です。

    斜めの壁は、採光や暖房でもいい働きをしてくれています。写真を見てください。窓からの自然光をレフ板のように反射しています。斜めの壁を伝ってストーブの熱も回っていきやすいですし、天井を高くとっても、すぼまって行く分、空気の総量が小さくなるので、暖房費も抑えられます。

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    現在相談を受けている案件で、農家の納屋を「畑作業の休憩小屋兼子連れ可能なサテライトオフィス」とする改修計画があります。大人では頭が当たってしまう微妙な斜めの空間を本棚で仕切り、子供の秘密基地のようにしつらえる予定です。

    近年の住宅は、屋根に積もった雪の処理や雪下ろしが危険という問題から「陸屋根」と呼ばれる平らな「無落雪屋根」を採用し、建物に積雪に耐えられる構造強度を持たせるという方向性が主流になっています。

    積雪地域の古い建物ならではの斜めの壁は、リノベーションでしかお目にかかる機会はないかもしれませんが、うまく室内に活用していきたいものです。

    三木万裕子

    三木万裕子(1級建築士)

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    東京都内の建築設計事務所勤務を経て2013年に独立。「三木佐藤アーキ」を主宰し、建物のほか家具のデザインや製作も行う。札幌市内の古い農家の住宅を修復し、夫で建築家の佐藤圭さん、長男の千木(せんぼく)君と3人で暮らす。札幌市出身。

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