幼児の片付け、どう習慣に 収育指導士・近川さんに聞く ゲーム要素取り入れ/収納法選択させる

「収育」という言葉をご存じでしょうか? 収納と「育児、教育、育成」を組み合わせた造語で、片付けの習慣化を通して、子どもの成長を促す取り組み。整理収納アドバイザーで、収育指導士の資格も持つ近川樹美恵さん=札幌市在住=に就学前の幼児に楽しく片付けを学ばせるこつなどを教えてもらいました。

できたら認める

「子育てをしている親が子どもだった時と比べて、今はモノがあふれている時代。子どもに整理や収納の大切さをきちんと学ぶ機会を持ってもらい、自立に向けて必要な力を身に付けてほしい」。近川さんは、収育の狙いをこう語り、幼児段階で、大きく六つのステップを示します。

まずは、子どもが自発的に片付けたくなるきっかけづくり。「例えば、片付けができたら表にシールを貼るとか、決められた時間内に何個のおもちゃをしまえるかゲームの要素を取り入れるなど、楽しい雰囲気づくりを心がけてみては」と勧めます。

片付けが完全でなくても、できた部分を認めるのも肝心といいます。「親はできていない点を指摘しがち。見方を変えて『面倒くさがっていたのに、お片付けをしてくれたね』などと声をかけると、子どものやる気につながる」と説明します。

意見聞き褒める

親の片付けについて、子どもの意見を聞くのもいいです。「親に頼られたという思いから、どこにどうやってしまうか真剣に考える。『おかげで助かったよ』と褒められればうれしいし、自分の片付けにも気合が入る」といいます。

ここからは実践編で、おもちゃなどを収納したり、飾ったりするスペースを具体的に決めます。「ポスターを張るのは壁のこの枠、ブロックの作品を置くのは棚の上だけとか。空間や場所が限定されることで、収納の仕方も工夫するようになる」と話します。

手放す順位自ら

次は、新しいおもちゃなどが増えた時に、どれを手放すのか子どもが優先順位を付けます。「悩んですぐに決められない場合は、考える期間を設けてもいい。結果的に判断を後悔しても、自分は何を優先するか次の機会に生かすことができる」と強調します。

もう一つは、片付けやすい収納法を子どもが選択。「例えば、鉛筆をペン立てに入れるのか、引き出しにしまうのかなど。親が収納法を決めると、片付けが苦手な子どもにとって、さらにハードルが高くなってしまう」と注意を呼びかけます。

2人の子どもの母親でもある近川さんは「子どもの持ち物が増えすぎているのは、周りの大人の責任でもある。普段から整理や収納について家族で話し合い、決められたルールは大人も守りましょう」とアドバイスします。

取材・文/安宅秀之(北海道新聞編集委員)

収育指導士

2016年に始まった資格で、一般社団法人「日本収納検定協会」(東京)が認定する。現在の資格保持者は全国で51人、そのうち道内では5人が活動している(※2019年度末現在)。毎年4月19日は、数字の語呂合わせで「収育の日」。

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