守りたい、子どもの歯の健康【前編】
毎年6月4日から10日は「歯と口の健康週間」。この時期、多くの幼稚園や保育園、小学校でも歯科健診が行われます。「生涯、自分の歯で食べる楽しみを味わえるように」という願いから、80歳になっても20本以上の自分の歯を守ろうという「8020(ハチマルニイマル)運動」が始まって約30年。実現には、幼少期から歯の健康を意識することが不可欠です。そこで、ちだ歯科クリニック 小児歯科担当歯科医師の片山修平先生に「子どもの歯の健康」についてお話を伺いました。
北海道は「子どものむし歯の本数」全国ワースト2位
文部科学省が全国の幼稚園児から高校生までを対象に実施する学校保健統計調査によると、むし歯のある子どもは昭和50年代から年々減少。
昭和62年には幼稚園児の80%以上にむし歯が見られましたが、平成29年度は35%台まで減っています。小学生では同じく91%から47%にまで減少。それだけ歯の大切さやむし歯予防への意識が高まっているといえるでしょう。
しかし、北海道に焦点を当てて見ると、むし歯のある子どもの割合は5~17歳まですべての年齢で全国平均を大きく上回っています=グラフ1=。
また、むし歯を治療しないまま放置している割合も全国に比べて高くなっています。さらに、12歳児を対象にしたむし歯の本数の調査では、全国平均0.82本に対し、北海道は1.5本で全国ワースト2位=グラフ2=。むし歯予防はもちろんですが、子どものむし歯は早期発見、早めの受診が大切です。
早期発見がポイント!
乳歯のむし歯は永久歯にも影響アリ
「乳歯はそのうちはえ代わるからむし歯になっても大丈夫」なんて考えているママやパパはいませんか? 子どもの歯はむし歯になると進行が早く、痛み始めてからでは治療も大変になります。
そこで、大切なのがむし歯の早期発見です。初期のむし歯ならば簡単な治療で済みますが、悪化すると神経を抜いて銀歯にしたり、抜歯したりと治療も長期間になることがあります。子どもが治療に協力できない場合は、安全のため専用のネットで体を固定しなければならず、とても苦しい経験をすることから、歯科恐怖症になってしまうことも珍しくありません。
子どものむし歯を放っておくと痛くてご飯が食べられなくなったり、最悪の場合は次にはえてくる永久歯が変色したりおかしな場所からはえてきたりもします。
早ければ5歳から、平均で6歳には永久歯がはえ始めます。スムーズな永久歯へのはえ代わりと、大人になってからも健康な歯を長く維持するためには、乳歯のケアが欠かせません。
むし歯にならない生活習慣とは?
1歳7カ月~2歳7カ月が肝心
むし歯の原因は「ミュータンス菌」といわれています。いわゆるむし歯菌は、食事やおやつ、ジュースなどに含まれる糖を利用して酸をつくり、歯の表面を溶かします。
通常は唾液の成分が溶けた歯の表面を修復してくれますが、絶えずチョコレートやキャンディーなど甘い物を食べていると唾液による修復工事が間に合わず、むし歯になってしまいます。
おやつは決まった時間に食べること、甘い物を食べるときの飲み物はジュースではなく水かお茶にする、といったことを習慣づけるといいですね。
特に1歳7カ月から2歳7カ月は「感染の窓が開く時期」といわれ、最もむし歯菌を受け取りやすい時期です。そのため、この時期に甘い物を食べる習慣が定着するとむし歯になりやすいと考えられています。
また、むし歯菌は周囲の大人から子どもにうつることが知られています。育児に関わる大人は、口の中のむし歯菌を減らすことが非常に大切です。大人も定期的に歯科医院を受診し、口の中を清潔な状態にしておきましょう。
歯並びや噛み合わせへの配慮も
指しゃぶりのクセがある子やおしゃぶりをなかなか手放せない子は、歯並びや噛み合わせに影響が出る心配もあります。
指しゃぶりやおしゃぶりの影響で、上の前歯が押され、前歯が出てしまったり、上下の歯がかみ合わなくなってしまったりすることも。
小さい内にクセが直れば、出てしまった歯が自然と元の位置に戻ることもあるので、過度に神経質になる必要はありませんが、指しゃぶりやおしゃぶりのクセは、できるだけ3歳までには止めるよう声かけしていきましょう。
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