「食べ慣れた食品」を非常用に。ムリなくムダなく取り組める水・食料の備蓄方法とは?

写真はイメージ(node / PIXTA)

地震など災害の発生に備え、家庭での食料や飲料水の蓄えが重要です。1日に発生した能登半島地震のように、交通網が寸断されて食料や飲料水の支援物資が不足する場合もあります。備蓄の目安は、最低3日分、できれば1週間分とされています。長期保存ができる非常食に限らず、普段から食べ慣れているレトルト食品や菓子などでも十分備えになります。備蓄品を「特別な物」だけにせず、災害時の精神的な安心感にもつなげましょう。

「消費した分買い足す」続けて

備蓄の目安が最低3日分とされているのは、被災後に公的支援が届くまでの期間を3日ほどと想定しているためです。飲料水の1日分は、1人3リットル。物流が止まって1週間ほど食品が手に入りづらい場合が多いため、国はできれば1週間分の備蓄が望ましいとしています。

食品・水の備蓄のポイント

火や調理を必要としない非常食として、水やお湯を注ぐだけで食べられるアルファ米、長期保存が可能なパンなどが普及しています。数年保存できるペットボトル入り飲料水を備える家庭も多いと思います。ただ、長期保存できる非常食と水だけで目安分を備蓄しようとすると、保管場所の確保に悩んだり、賞味期限切れ前に食べきれないケースもあります。

国や道が勧めるのは、食べ慣れた食品も含め備蓄する対策です。備蓄品を定期的に消費し、消費した分を買い足して常に一定量を保つ「ローリングストック」法が推奨されています。期間を決めて消費するために、賞味期限が長くない食品や飲料水でも備蓄ができます。普段口にするレトルト食品などを多めに買うことで、手軽に取り組めるのも魅力です。

例えば4食分を購入し、1食消費するたびに買い足します。4回繰り返すと全て入れ替わるので、賞味期限切れに悩まずにすみます。月1回など定期的に消費しても良いですが、普段から食べている食品であれば、「食べたら買い足す」を続けるだけで良いです。

ローリングストック法

道危機対策課課長補佐の葛西忍さん(52)は「ストレスを抱える災害時に、食べ慣れた食品があるとほっとできる」と話しています。特に乳幼児は慣れない食品を嫌がることがあり、レトルトの離乳食や幼児食を体験しておくことも大切です。好きなおやつ、飲み物も準備しておくと良いでしょう。

道内では、食品を温めて食べられるような備えも重要になります。厳冬期に災害が発生すれば、暖房が使えずに過ごす可能性もあります。葛西さんは「温かい食品を食べるだけで、手先が温まり、低体温症の予防にもなる」と話します。カセットコンロのほか、水だけで食品を温められる「発熱材」入りの加熱袋なども市販されています。

消費と買い足しを繰り返して備蓄を保つローリングストック法。非常食だけでなく、普段食べ慣れているレトルト食品も含めると、気軽に取り組める。子どものいる家庭は、幼児食やお菓子も保管しておくと、災害時の精神的な安定にもつながる

消費と買い足しを繰り返して備蓄を保つローリングストック法。非常食だけでなく、普段食べ慣れているレトルト食品も含めると、気軽に取り組める。子どものいる家庭は、幼児食やお菓子も保管しておくと、災害時の精神的な安定にもつながる

食料も含め何をどれだけ備蓄すべきかは、家族構成などによって違います。道や国がウェブサイトなどで公開する災害時の持ち出し品、備蓄品のリストを参考に、個々の状況に合わせて必要なものを考えて、保管することが重要です。子どもがいる家庭は、普段使うおもちゃやタオルなどを持ち出し袋に入れておくと、災害時の不安軽減につながります。「1回そろえて終わりではない」と葛西さん。子どもの成長や生活状況の変化に合わせ、見直す必要もあります。

備蓄品の保管場所は、持ち出しやすさ、取り出しやすさを考えて選びます。冬場は暴風雪など車の運転中の災害も想定して、車内にも備えておくと良いです。災害時は、食品に限らず使い慣れた物があると心が落ち着くので、石けんなどの日用品の備蓄もお勧めです。

取材・文/石橋治佳(北海道新聞記者)

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