PTA「できれば関わりたくない」4割、6割が「困った経験あり」 役員選び負担

PTA活動は登下校時の児童の見守りや学校内の花壇整備など、幅広くある(写真はイメージ / PIXTA)

「PTAの役員が決まらない」「PTAに強制加入させられた」-。SNS上ではPTAにまつわる困りごとがしばしば話題に上がっています。北海道新聞「みなぶん特報班」と北海道新聞の子育て情報ウェブサイト「mamatalk(ママトーク)」が合同でウェブ上でアンケートを行ったところ、PTA活動について、4割以上が「できれば関わりたくない」と答え、困った経験がある人は6割以上に上りました。PTA活動のいまをアンケートで探りました。(報道センター 長谷川史子)


アンケートは特報班の公式LINEのフォロワー(通信員)およびmamatalk読者を対象に11月9~23日に行い、222人から回答が寄せられました。アンケートは多様な意見を聞く目的で行っており、無作為抽出の世論調査とは異なります。

「PTA活動についてどう考えますか」という質問には、43.2%が「できれば関わりたくない」と回答。「関わりたいが時間がない」が32.0%、「積極的に関わりたい」は24.8%でした。

PTA活動についてどう考えますか

仕事との両立困難

登下校時の児童の見守りや学校内の花壇整備、ベルマークの収集やバザーの企画…。PTA活動は多岐にわたり、平日の日中や夜間に行われることも多いです。PTA活動に関する思いを自由記述で聞くと、共働き世帯が増える今、仕事との両立の難しさを訴える声が多く寄せられました。

▽ 今は働くお母さんも多く、帰宅後も習い事の送迎など忙しい。プライベートに支障が出てまで行う必要はない=札幌市白石区の40代女性

▽ 共働きでは平日日中の活動は有給休暇を取って(PTAの会合に)出ないといけない。必要な活動に絞って、業務を縮小することが必要=室蘭市の50代の公務員男性

▽ 街頭見守りや花壇の手入れなど募集がたびたび来るが、平日は仕事で行きたくても行けない。申し訳なく感じている=苫小牧市の公務員女性(45)

▽ 急に仕事が休めず、結局、不参加のまま1年が終わってしまう。働いている親はなかなか参加は難しい=富良野市の公務員女性(46)

未就学児のきょうだいを連れて活動することの難しさを指摘する声もあります。

▽ 下の子がいたら集まりにも連れて行かなければいけない。(交通安全の)旗振り活動に下の子を連れて、15分も交差点に立つなんて危険=帯広市の専業主婦の女性(37)

学校と接点を持てる利点も

「積極的に関わりたい」と答えた人からは、学校との接点が増えるといったメリットが挙げられました。

▽ PTAの行事で学校に行くと、子どものクラスメートや先生方と顔見知りになれてよかった=江別市の40代主婦の女性

▽ エアコンの設置問題など、子どもの声を聞いて行政に届ける手段の一つがPTA。重要な役割だと感じる=恵庭市の公務員女性(34)

「役員を引き受ける人が少ない」

PTA活動に携わる際に困った経験はあるかどうか聞いたところ、「ある」と答えた人は62.6%、「ない」は37.4%でした。

PTA活動に携わる際に困った経験

具体的に困った内容について聞くと(複数回答)、「役員を引き受ける人が少ない」との回答が55.9%で最多でした。「役員業務が大変で仕事や家庭との両立に苦労した」が25.7%、「PTA会費が家計の負担になった」が3.2%と続きました。

困りごとに関して寄せられた意見では、役員選出に関するものが目立ちました。

▽ 「役員にならないか」と先生から1時間以上電話で説得された。断る権利はないのか、と泣いた思い出がある=札幌市西区の会社員女性(43)

▽ 事前にPTAの役員の希望をとっても、やるという人はほぼゼロ。(PTA役員を決める)懇談の場に出席している10人にも満たない出席者の中から決めるのは不公平。役員をやりたいから懇談に出ているわけではない=北広島市の40代パート女性

▽ 役員が決まらなければ担任の先生が個別に電話をして保護者にお願いしていた=札幌市南区の50代パート女性

▽ 例年、立候補者がいない。あらかじめ先生が一本釣りして、選考の時に自ら立候補するよう仕込んでいる場合もあった=北広島市の女性(40)

▽ 少子化で役員のなり手確保は大変。学年1クラスで保護者の数も少なく、同じ人が繰り返し役員を引き受けていた=網走市の50代の飲食店を経営する女性

PTA活動に関する困りごとについては、役員選出に関する意見が目立った

PTA活動に関する困りごとについては、役員選出に関する意見が目立った

PTA改革について希望することを聞くと(複数回答)、「ボランティアやイベントなど活動のスリム化」を挙げた人が54.5%と最多で、「加入、非加入を自由に選べるようにしてほしい」が37.8%、「会合などのオンライン化」が34.2%、「役員の数を減らしてほしい」が18.0%でした。

PTA改革について望むこと

「手挙げ方式」望む声

PTAによっては「1家庭1役」を掲げ、全保護者が一律で何かしらの役目を背負うところも少なくありません。そんな中、強制的に何らかの役目を割り振るのではなく、「やりたい人がやりたい活動を担う」という手挙げ方式を望む意見が自由記述で寄せられました。

▽ボランティア活動ごとに手伝いを募り、集まった人数で出来る規模のことだけをやれば良い=札幌市中央区の自営業40代女性

地域の高齢者に手助けを頼むという提案もありました。

▽ 交通安全運動は、完全にボランティアにして、地域の方々にも協力してもらうなど時間のある高齢者に力を借りてみるのも良いと思う=札幌市豊平区の40代教育職員女性

任意なのに「強制加入」

PTAは「Parent(保護者) Teacher(教職員) Association(組織)」の略で、学校とは別組織です。あくまで任意団体で、入るか入らないかは自由です。現状は強制加入の問題も根強く残っています。ただ、実態は入学と同時に保護者全員が加入を促され、会費が自動的に口座引き落とされている―という事例も少なくありません。

▽ わが校は当たり前のようにPTA参加が義務化されている=栗山町の女性(44)

▽ ボランティアと言いながら強制参加の圧力がある=札幌市西区の会社員女性(39)

加入や非加入の意志確認を試みるPTAもあるようです。ただ、徴収したPTA会費が学校運営費の財源になっているケースもあり、「会費が減るかもしれない」という懸念から、任意加入を徹底する動きは鈍いのが現状です。

▽ (PTA加入の)申込書を作成して配布したいが、学校側から却下される傾向にあり苦戦している。学校側がPTA会費をあてにするという体制を何とかすべきだ=札幌市東区の会社役員女性(41)

道内外でPTA改革に取り組む学校もある

道内外でPTA改革に取り組む学校もある

外注やオンラインも

またPTA活動の負担を減らそうと、活動を外注したり、会合にオンラインを活用する提案も寄せられました。

▽ 外注できるところは外注しても良いのではないか=札幌市北区の自営業女性(51)

▽ 集めた会費を外部委託するための費用に充てるなどしてほしい=札幌市白石区の薬剤師女性(34)

▽ (会議を)Zoom参加できるようにするなど時代に合わせて方法も変えていったほうがいい=苫小牧市の40代会社員女性

改革進む地域も

既に手挙げ方式を採用するなど改革を進めているPTAもあるようです。

▽ 「無理しないで活動する」ことを勧めている。休みやすく、気持ちよく活動できている=旭川市の会社員女性(44)

▽ PTAがボランティア制に変わり「やれる時にやれる人が」というコンセプトになった。嫌々活動する人が減った=千歳市の主婦女性(38)

教員の負担の大きさを指摘する声も

役員決めの調整などに奔走する学校教員の負担の大きさを指摘する声もありました。

▽ 共働きの保護者がほとんどで、役員をお願いしてもなかなか引き受けてもらえない=北見市の50代教員男性

▽ 教職員の負担が大きすぎます。PTAの配布文書など先生方が土台を作っているのが現実。教職員の負担が増すばかりです=上川管内鷹栖町の教職員女性(39)

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