連載エッセー「ステキな家をつくろう」
#8|流しの大工 利益なしでも大きな経験
前回、ラフでライトなリノベーション(改修)=(ラ)ノベ=について書きましたが、それを思いついてすぐに誰かの暮らしで実践しようと思い立ち、静岡県に住む妹夫妻の家に押しかけました。
まずは生活の不便をヒアリングし、キッチンの作業台、脱衣室のワゴン、本棚の3種類を作ることに。材料の調達はプロ向けホームセンター。材料のカットも数十円でしてもらえ、基本的な工具類も1泊数百円でレンタルできました。材料運搬は軽トラックを借りられるほか、配送を頼むことも可能です。
ヒアリング翌日から3日間で設置完了、「生活が激変した」と好評でした。その1カ月後には東京に3週間ほど滞在し、友人宅を3軒はしごしながら、「流しの大工」生活を送りました。
いずれも遠方なため、交通費や滞在費がかかり、仕事として利益は出ませんでしたが、家族や友人と、自分のために空間をしつらえる喜びを分け合えたのは大きな経験でした。
賃貸住宅は特に「与えられた空間を使う」という暮らし方で、原状回復の義務もあるため、空間に手をかけるという考えが主流ではないようです。置き家具でアレンジするにしても、その場所や用途にぴったりのものはなかなか見つかりません。
私は大工さんに教わりましたが、DIYブームの今、ハウツー本や動画が多く出ています。設計から材料どりの段階は慣れが必要です。最初は失敗しながら学ぶつもりで臨みましょう。生活スタイルの変化に合わせて身軽に空間をつくりかえて行ける〝術〟は一生ものです。
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