市民らが子ども預かり・送迎 おたるファミサポ利用増 22年度、初の千件超 会員増え仕組み浸透

帰宅した母の大口まきさん(中央)に琉叶君(左)の様子を伝える提供会員の稲玉宏子さん

子どもの一時預かりや送迎などを担う有償ボランティア「おたるファミリーサポートセンター」(ファミサポ)の2022年度の利用件数が1229件と、11年度の開設以来初めて千件を超えた。仕組みの浸透や共働き世帯の増加などが要因とみられる。

6月上旬の夕方、市内の自営業大口まきさん(45)が仕事から自宅に戻ると、次男で幼稚園児の琉叶(るか)君(3)が提供会員の稲玉宏子さん(69)と英語のパズルで遊んでいた。まきさんは琉叶君が生後1カ月の時からファミサポを利用。幼稚園のお迎えと、帰宅するまでの預かりを依頼している。

まきさんも、夜勤のある公務員の夫(41)も、実家が市外で親を頼れない。まきさんは「支援がなければ生活は成り立たない。信頼できる親以外の大人の存在は子どもの財産になるはず」。稲玉さんも「琉叶君に会うたびに成長を感じられて楽しい」と笑顔だ。

ファミサポは市民か市内に勤務先のある人の子ども(0歳から小学6年)が対象。市がNPO法人北海道子育て支援ワーカーズ(札幌)に委託して運営する。援助を受けたい人は「依頼会員」、援助する側は「提供会員」との位置づけ。利用料金は30分300円からで時間帯などによって変わる。

年間利用件数は、コロナ禍の19~21年度は700件台で推移。千件を突破した22年度は習い事の送迎に加え、小学1年生を学校に送り迎えする依頼が目立った。市こども未来部は「登校時間より先に仕事に出る親が利用するようだ」と説明。近所に一緒に登校できる子どもがいないケースもあるという。

会員数の増加も利用増につながっている。22年度は624人で、開設初年度(225人)の約2.8倍に増えて過去最多に。そのうち、依頼会員は451人と全体の7割を占め、少子化の中でもニーズは高い。ファミサポの担当者は「母親になる人には出産前からぜひ仕組みを知ってほしい」と話している。

依頼会員は登録のみ、提供会員は養成講習会を修了すると会員になれる。養成講習会は7月4~19日の計6日間。市いなきたコミュニティセンター(稲穂5)でいずれも午前10時から。定員20人。申し込みはファミサポ、電話0134・27・1020(平日午前10時~午後5時)へ。(阿部里子)

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