【こどもの本棚】スージー・リー『なみ』
今回のテーマは「パートカラーの本」
推薦者 水野有子さん(えほんマイクロライブラリー)
モノクロが生かす青い海
モノクロの中で、特定の色だけをカラーにする表現方法を「パートカラー」といいます。水野さんに、パートカラーの絵本を教えてもらいました。
「なみ」(スージー・リー作絵/講談社)=写真=は、モノクロと青の絵のみで、文字もない絵本。海へ遊びに来た女の子は、波と戯れます。
横長の本を開くと海の広さが目の前に広がります。「見開きを上手に使っているんです」と水野さん。右側が波立つ青い海で、左側のモノクロの世界から女の子は海をのぞき込みます。波に近づいていくうち、大きな波が! びしょぬれになってしまった女の子に、波はすてきなプレゼントをくれました。
女の子が海を楽しむにつれ、左側のページも青色に染まっていくのです。シンプルな色使いが想像力を働かせ、目の前に爽やかな海の景色が広がる絵本です。水野さんは、パートカラーの本について「主張が明確で、訴えてくることが多い。パートカラーの部分以外に目を向ける楽しさもある」と話します。近くで見ていたであろう母親が現れるシーンもほほ笑ましいですね。
作者は韓国・ソウル出身。米国で出版されると各国から出版依頼が相次いだ絵本だそうです。2歳から。
<えほんマイクロライブラリー>
絵本専門士の水野さんが主宰する移動式の私設絵本図書館。イベントや個人宅へ出張し、その場で本を楽しんでもらいます。水野さんは帯広大谷短大付属図書館勤務。
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「かさ」
太田大八作絵/文研出版
「空の飛びかた」
ゼバスティアン・メッシェンモーザー作絵、関口裕昭訳/光村教育図書
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せなけいこ作絵/ポプラ社
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