ひと工夫で無理なく節約! 栄養士熊谷しのぶさんに聞く離乳食づくりとおすすめレシピ

食品をはじめ、昨年から続く物価高騰が子育て世代にも大きな影響を与えています。今回は離乳期の子どものいる家庭向けに、ひと工夫で無理なく節約につながる離乳食づくりについて、料理教室「Pop Spoon」(札幌)代表の栄養士、熊谷しのぶさんに聞きました。


5カ月と2歳半の男児を育てる札幌市中央区の会社員山本昭子さん(37)は今、暖房費などの節約に気を使っています。それでも「子どもの食費は削らず、体に良いものを食べさせたい」というのが親心。長男の離乳期は、レシピ本通りに食材をそろえたため、野菜が値上がりしても代用品を使わずに買っていたと振り返ります。

節約のポイントについて、マタニティーフードアドバイザーでもある熊谷さんは《1》大人と同じ食材で離乳食も作る《2》大人の味付けをする前に、子どもの分を取り分けて離乳食にする《3》使う調理器具を少なくし、水道代を節約《4》同じメニューは味付けや食材を加えてアレンジ《5》赤ちゃんが好む味や食感にして、食べ残しを減らす―ことを挙げます。

「Pop Spoon」代表の熊谷しのぶさん

「Pop Spoon」代表の熊谷しのぶさん

高価な具はほかで代用、味付け前に子ども分を取り分ける

食材は、「レシピにタイとあっても、タラなど白身の魚で代用可能」と熊谷さん。鍋物やみそ汁などを作る過程で、味付けをする前に子ども用の具材を取り出し、スプーンの背で野菜をつぶして、コンブのだし汁をかければ離乳食になります。

余らせがちな食材を活用

身近で、つい余らせがちな食材も活用できます。キャベツ30gを納豆1パックと共にみじん切りにして、耐熱容器に入れて混ぜ、ラップをして600Wの電子レンジで30秒加熱、米粉大さじ2を加えてフライパンで焼くと「おやき」にもなります。 離乳食として先に作ってから、大人が食べる場合は、《1》しょうゆや塩、ごま油を足す《2》スープの場合は、かつお節としょうゆを足すか、とろろ昆布を入れると良いでしょう。

食べない悩みは「食感」で解決

また、「せっかく離乳食を作ったのに食べてくれない」という悩みも少なくありません。熊谷さんは「コンブに含まれているグルタミン酸は、母乳にも含まれていて、赤ちゃんにとって『なじみの味』」と説明します。コンブでだし汁を取った上で、赤ちゃんが好む食感(もちもち、とろとろ、ぷるぷる)にすることで、食が進むこともあるといいます。

節約のポイント

物価高による子育て費用85%が「負担」
―保険会社の昨夏調査―

明治安田生命保険(東京)は昨夏、0歳から6歳までの子どもがいる全国の男女1100人を対象に、子育てに関するアンケートをインターネット上で行いました。

物価高による子育ての費用について、85.2%が「負担を感じている」と回答。項目別では、「食費(ミルク代やベビーフード、お菓子などを含む)」が最も高い58.4%で、次いで「電気・ガス代」が36.5%、「日用品(おむつ代など)」は35.7%でした。

分析を行った明治安田総合研究所は「2019年10月から始まった幼保無償化で子育て費用は、平均して月額3千円程度軽減されたが、物価高がその効果をほぼ打ち消しています」と指摘します。昨秋以降は、市販の粉ミルクやベビーフードなども値上げされ、「物価高が重荷となる状況は当面は続くだろう」とみています。

取材・文/田口谷優子(北海道新聞記者)

おすすめレシピ

1.ハッシュドバナナ(対象:9カ月~)

ハッシュドバナナ

材料(直径3~4cmで6枚分)
バナナ……30g
絹ごし豆腐……30g
片栗粉……大さじ2

作り方
1.バナナを厚さ5mm~1cmくらいに切り、スプーンの背でつぶす。
2.絹ごし豆腐、片栗粉を①と混ぜる。6等分して油(分量外)をひいたフライパンに入れ、ふたをして両面を焼く。

2.小ネギと白カブのやさしいスープ(対象:7カ月~)

小ネギと白カブのやさしいスープ

材料(4~5回分)
玉ネギ……100g
カブ、大根……各50g
小ネギ……8g
昆布だし……1と1/4カップ
しょうゆ……小さじ1/2

作り方
1.玉ネギ、カブ、大根は皮をむいて小さめの乱切りに。小ネギは3~4cm幅に切る。
2.小鍋に①と昆布だしを入れてふたをし、中火でやわらかくなるまで煮る。
3.②にしょうゆを入れ、フードプロセッサーにかけてなめらかにし、粗熱をとる。

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北海道外

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