巻いて!はって! 世界に一つのクリスマス飾り 身近な素材で工作

マツボックリのツリー(手前左)と壁飾り(奥)、木片で作るツリー(右)(岩崎勝撮影)

包装紙やリボン、ボタン、身近に手に入る木の実といった材料を使い、世界に一つだけの「クリスマス飾り」を作りましょう―。素材から選ぶ工作は、親子で楽しみながら挑戦でき、子どもの創造力を育みます。子ども向けアート教室を訪ね、作品作りのアイデアや、作るポイントについて聞きました。


11月20日、札幌市中央区内で開かれたアート教室「はるの木」では、4歳から小学3年生までの子どもと保護者の計16人が、創作活動に取り組みました。「ツリーができたらおうちに飾る」。札幌市中央区の菊池莉子(りこ)ちゃん(4)は、紙コップをツリーに見立てて赤いリボンを巻いたり、木の実を接着剤でくっつけたりして、楽しそうです。

リボンや紙、木の実

この日、自由制作の素材として用意されたのは、赤や緑のリボン、ドングリ、画用紙など約80種類。中には大豆や、ちょう結び形のショートパスタといった、普段はキッチンにあるものもあります。各自好きな物を選び、イメージを膨らませて作ります。市内中央区から参加した千(ち)麻衣子さん(37)と次女の優芽子(ゆめこ)さん(8)は、ストローなどで組んだ土台に毛糸を巻き付けたツリーと、紙コップのサンタクロースを作りました。優芽子さんは「お姉ちゃんや弟と一緒に遊びたい」と喜んでいました。

クリスマス飾りを作った千麻衣子さん(右)と優芽子さん

クリスマス飾りを作った千麻衣子さん(右)と優芽子さん

元幼稚園教諭で教室を主宰する工藤恵里さん(50)は「子どもが自由な発想で作った方がおもしろい作品ができます」と話します。取り組む時は、子どもが素材から作品をイメージする時間を見守ることが大事といいます。もしもアイデアが浮かばず困っていた場合、素材をじっくり触らせたり、保護者が「何に見える?」と声をかけたり、手助けをしてもよいでしょう。木の実などを使う場合、「衛生面が気になれば、煮沸して天日干しを」と助言します。

さまざまな材料から飾りに使いたいものを選ぶ

さまざまな材料から飾りに使いたいものを選ぶ

家庭で作れる「クリスマス飾り」として、工藤さんは①マツボックリのツリーと壁飾り②木片で作るツリーを教えてくれました=グラフィック=。①では、ツリーはマツボックリで、市販のハート形のパスタをはめたり、リボンを巻いて作ります。壁飾りは、マツボックリに糸を結ぶだけです。②では、ツリーは木片を接着剤で縦に重ねて作ります。木はホームセンターの木材売り場で買った板や端材を好きな大きさに切ってもらえる場合もあります。ボタンや綿といった飾りを付けても楽しいですね。

工藤さんは「素材を替えれば、季節感も変わります」と提案します。リボンの色を紅白にしたり、水引を結んだりすると、お正月飾りに変身します。

クリスマス飾りの作り方

知識広げる入り口に

工作が、知識を広げる入り口にもなります。北海道文教大こども発達学科准教授で美術教育を専門とする笠見康大さん(39)は「クリスマスは、他の国の文化を理解するきっかけにもなります。飾りの意味など、親子で一緒に調べてみては」とアドバイスします。

身近な素材を使った創作活動は、保育現場でも行われています。北広島市の大谷むつみ認定こども園(斎藤由佳里園長、87人)では11月、園内で拾ったドングリを接着剤でつなぎ、リースを作りました。同園は「自然を楽しみ、自分の手で物を作り出す喜びを感じてほしいです」。

自然の素材集めについて、森林や公園の多くは生態系の保護などを理由に植物の採取を禁じているため、管理者への確認が必要です。札幌市や函館市では、公園内の木の実は、落ちているものを個人が少量持ち帰るのであれば構わないといいます。ただ、「商売用に大量に持ち帰ったり、木になっている枝をそのままとったりしないでほしい」(函館市公園河川管理課)と注意しています。

公園内で創作活動を体験できるところもあります。野幌森林公園自然ふれあい交流館(江別市)では、マツボックリにビーズなどを飾る「クリスマスツリーづくり」(1回6人まで、無料)を休館日の月曜日を除く28日まで毎日、行っています。問い合わせは同館の電話011・386・5832へ。

取材・⽂/田口谷優子(北海道新聞記者)

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