【こどもの本棚】杉田比呂美『12にんのいちにち』

今回のテーマは「1日」
推薦者 柳平結子さん(更別村図書室)

町の暮らし 人のつながり発見

柳平さんは、町や動物園などの1日の様子を描いた絵本を紹介してくれました。「12にんのいちにち」(杉田比呂美作/あすなろ書房)は、字のない絵本。柳平さんは「読み手が想像して物語を考えられそうです」と話します。

朝が来た。パン屋さんにテレビ記者、宅配便配達のお兄さんや好奇心旺盛な赤ちゃんら、ある町に住む12人の1日が始まります。見開き上部に、それぞれの様子を追った12個のコマが並び、下部には街並みが広がります。ページをめくると2時間進み、町を1周できるつくりになっています。

みんなの暮らしを見るのが楽しいだけでなく、パン屋さんがテレビ取材を受けていたり、宅配便のお兄さんが赤ちゃんの家に届け物をしていたりと、同じ町に住む者同士が緩やかにつながっていることにも気付きます。細部にまでさまざまな物語が潜み、見る度に発見がありそうです。

「いろんな暮らしがあることが分かる。パン屋さんや消防士さんら、それぞれの仕事についても知ることができます」と柳平さんは話します。3歳ごろから。

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(2022年8月30日 北海道新聞帯広・十勝版掲載)

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