連載エッセー「ステキな家をつくろう」
【新連載|ステキな家をつくろう】夫婦で建てた家 築50年の改修に挑戦
「ステキな家をつくろう」
どんな家を建てたらいいのかー。それぞれの家族に理想とする家があり、悩みは尽きません。札幌在住の建築家、三木万裕子さんが、古民家をリノベーションして〝わが家〟をつくったときに学んだアイデアやノウハウをつづります。
2013年に、10年暮らした東京から故郷・札幌に移り住み、夫婦で設計事務所を立ち上げました。一緒に働き、休む平和な生活が一変したのは2年前。仕事の急増、初めての出産と育児、住んでいた借家を出なければならないなどの事態が、天変地異のごとく一度に押し寄せました。
夫婦げんかは、重要な物事を決めるときに起こるもの。家づくりはその最たるケースといえます。自宅兼事務所を構えることに決めてから完成までの1年間、私たちも10年分のけんかをしました。
建築家にとっての自宅は、プロとしての方向性を表明するマニフェスト。築50年の農家の住宅をリノベーション(改修)すると決め「本物の素材を使おう。地球に優しく暮らそう。実験、実践の場にしよう」と志高く計画を進めました。
設計にこだわるのはもちろん、工務店任せにせず時には自分たちで工具を振るいました。作業の細かな部分も把握でき、工務店のありがたさを体感しましたが、自らの予算管理の甘さに苦しんだり、長引く工事にイライラしたりもしました。
引っ越してから1年たったいま、経験は糧となり、苦しんだ記憶は笑い話に。当時は気づかなかった、夫のしてくれた数々の作業にも感謝の思いがわきます。
家づくりは大人が学び、考え、挑戦する数少ない機会。夫婦で力を合わせて何かを成し遂げることでもありました。住まいの更新は、誰にとっても素晴らしい経験になり得ると思います。
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