連載コラム「あそぶ→そだつ」第18回

【あそぶ→そだつ】片付けは場所を決めて

家の中で、おもちゃが床に散らばっている、子どもがおもちゃを出したまま片付けない―など、遊びの中で困ったことはありませんか。今回は「片付け」について考えてみましょう。

保育・幼児教育施設では、発達に合ったおもちゃを用意し、子どもが主体的に遊べる環境づくりを考えています。札幌市内にある認定こども園の1歳児クラスを参考にしてみましょう。ままごとのキッチンや積み木で遊ぶ場所、おもちゃや絵本の棚など、どこに何があるかを目で見てわかるようにしています。棚のおもちゃは秩序正しく整頓され、子どもの手が届くようにしています。

2歳前後の男の子が、モザイク遊びに熱中していました。何度もくり返し遊ぶと満足そうにほほ笑み、おもちゃを自ら棚に戻しにいきました。どこにしまうかを認識しているようで、保育者の助けを借りず、手際よく片付けています。このようにおもちゃを決まった場所に置くことで、子どもは自分で片付けることが可能になります。

家庭では、どのようにおもちゃを置いているでしょうか。おもちゃ箱のような大きな入れ物にひとまとめにすると、使いたいものを探すのが大変です。その結果、多くのおもちゃが床に散らばることにつながりかねません。背の高い棚を使う場合は、小さなお子さんのおもちゃを下段に収めるという工夫もできます。

片付けは、使い終わったら元に戻す―という習慣的な行為とも考えられます。保育施設と同じようにはできませんし、環境を整えればどのお子さんも片付けをするわけではありません。しかし、子どもが出し入れしたい時に自分でできる環境づくりをしておくことは、子どもの主体性を育む一助になるかもしれません。

教えてくれたひと

増山由香里さん

札幌国際大准教授(発達心理学)

1972年生まれ、岩見沢市出身。岩見沢東高から藤女子短大(当時)へ進み、幼稚園教諭、保育士資格を取得。保育現場で勤務後、北大に編入し、北大大学院に進んで修士課程修了。旭川大学短期大学部准教授などを経て2017年から札幌国際大人文学部准教授。保育現場での出合いから、おもちゃや絵本への関心を深めた。編著に「具材―ごっこ遊びを支える道具」(17年、庭プレス)がある。

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