子ども接種、2回目終了まだ2割 副反応不安視 新型コロナ

新型コロナのワクチンを受ける中学生。5~11歳の接種率は低迷している=8月上旬、札幌エルプラザ(金田淳撮影)

新型コロナのワクチンを受ける中学生。5~11歳の接種率は低迷している=8月上旬、札幌エルプラザ(金田淳撮影)

5~11歳への新型コロナウイルスワクチンの接種が進んでいない。2回目を終えた人は2割弱にとどまり、この約1カ月間は第7波が急拡大したにもかかわらず、接種率はほぼ横ばいで推移。副反応などを不安視する保護者が多いためとみられる。一方、子どもの重症例も増えており、国は近く、5~11歳への接種を12歳以上と同じ「努力義務」とすることを正式に決める。全国の学校の夏休み明けに伴う感染拡大も懸念され、専門家は感染対策の徹底を呼び掛ける。

「子どもの感染がすごく増えているので、新学期が始まるまでに娘の接種を済ませた」。12歳と10歳の娘がいる札幌市東区の母親(45)はこう話す。ただ、周囲は未接種の子どもが多いといい、「副反応などを気にしているのかもしれない」。円山ため小児科(札幌)の多米淳院長も「夏休みで接種する子どもが増えるかと思ったが、それほどでもなかった」という。

厚生労働省などによると、8月29日時点で2回目を終えた5~11歳は17.9%(道内19.9%)。夏休み前の7月19日時点から1.3ポイント(同1.2ポイント)増と、ほぼ横ばいだ。12~19歳の74.6%(同74.8%)よりかなり低い。同省の担当者は「流行当初、子どもは感染しにくく、感染しても軽症との印象が強かったことや、副反応でつらい思いをした保護者が、小さな子どもに受けさせたくないと考えていることが影響しているのでは」とみる。

国立成育医療研究センター(東京)などの感染者調査によると、オミクロン株流行期(1~3月)は、デルタ株流行期(昨年8~12月)と比べて、2~12歳では発熱やけいれん、13歳以上ではのどの痛みが多く確認された。第7波では、子どもの重症例や死者が増え、脳症やけいれんで入院するケースも増加している。

こうした状況を受け、日本小児科学会は8月、5~17歳の健康な子どもへのワクチン接種を「推奨する」との見解を公表。これまでは「意義がある」という表現にとどめていた。

同学会理事の斎藤昭彦・新潟大教授(感染症学)は「副反応が大人より少ないことや重症化予防の効果など、国内外でのデータが蓄積され、接種のメリットが大きいと判断した」と説明。厚労省の分科会は今月2日、5~11歳への3回目の追加接種を了承した。

とはいえ、保護者の間では副反応などへの不安は根強く、同学会はホームページで効果などの発信に力を入れる。斎藤教授は「ワクチンの有効性や安全性は確認されている。本人と保護者でよく話し合って判断してほしい」と話す。

一方、国立感染症研究所の脇田隆字所長は「全国の新規感染者は減少に転じたが、夏休みが終わって再び増加することも考えられる。体調が悪い場合は外出しないなど、感染対策の徹底が必要だ」と指摘する。

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